年末までの節税チェックポイント
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2017年10月】年末までの節税チェックポイント
年末を控え、決算対策のチェックが必要な時期になりました。あらためて、節税のポイントに漏れがないか確認してみましょう。
1 青色申告特別控除
青色申告特別控除は、医業所得等から65万円の控除を受けることができる制度です。貸借対照表を申告書に記載することが条件です。
所得の多寡により住民税込の税率は、15%から55%ですから、最低9万8千円、最高税率の場合には35万円余りの節税となります。
なお、正規の簿記により記帳していない場合には控除額は10万円となります。
2 専従者給与
事業主が青色申告者であれば、青色事業専従者給与の届出書を提出し、実際に支給した給与が必要経費に算入されます。
親族であっても、非同居で別に生活しているような場合、一般の従業員給与となり、届出も不要です。
届け出た専従者給与の金額が労務の状態にそぐわない場合には、遅滞なく変更届出書を所轄税務署長あて提出し、増額(減額)することができます。
3 少額減価償却資産
青色申告の場合、一個一組の金額が税込30万円未満(税抜き経理の場合には税抜き金額)の減価償却資産は、年合計300万円以下を上限として必要経費に算入できます。ただし、年末までに実際に事業の用に使用しなければなりません。
確定申告書に、合計金額等を記載する必要があります。
青色申告者でない場合には、必要経費に算入できる金額は、10万円未満の減価償却資産に限られます。
4 短期前払費用
継続して役務の提供を受ける契約に基づいて支払われる家賃や地代などについては、月払が通常ですから毎月分が必要経費となります。
但し、支払った時から一年以内分の家賃等を前払した場合には、短期前払費用の特例により、その前払家賃全額が必要経費となります。
5 小規模企業共済
小規模企業共済制度は、事業主の退職金制度として現在は独立行政法人中小機構が運営している制度です。
掛金(月額最高7万円)は、全額所得控除の対象となります。65歳以上になった場合や廃業した場合に共済金受給が可能となりますが、共済金は、現行の税制上退職所得に該当し、有利な扱いとなっています。
11月20日までに納付月変更届を提出した場合、12月分から一年先払いが可能となり、先払いした掛金も全額所得控除の対象となります。なお専従者についてもこの制度を利用することが可能です。
6 社会保険料控除
国民健康保険料などの社会保険料については、親族の内誰か一人が、生計を一にする親族分をまとめて支払った場合には、親族分を含めて支払った人の所得控除の対象とすることが可能です。
所得の最も多い家族にまとめて申告することができれば節税効果が最も大きくなります。
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