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税務調査(1)

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2006年12月】税務調査(1)

 売上1000万を超える個人業者への消費税課税対応でやや足の止まったかにみえた税務調査でしたが、最近ようやく調査となる個人業者が多くなったようです。今回は、税務調査を解説する事により日常的にどのように備えるかを考えます。

始まりは調査通知から

 税理士に依頼している場合、税務署よりの調査通知は通常税理士を通して行われますが、例外的に、納税者に直接調査通知がある場合もあります。この場合は、相手の役職と氏名、希望日時を聞き取りながら、調査目的を開示するよう要請します。税理士に依頼している場合には、税理士と相談の上後日連絡する旨を伝え、依頼していない場合には、日程の調整等は後日相談の上決定する事にします。

 税務調査は、任意調査と強制調査に区分されます。脱税犯摘発を目的とする強制調査以外は、すべて任意調査であり、納税者の同意の上で行われるものです。従って、日程の調整、資料提出の有無、回答をするか否か等すべて納税者の意思が優先します。

 また、現金残高を調査するだけであるからとの口実で診療所に税務署が突然来訪する事があります。この場合にも、例え空き時間であったとしても原則として抜き打ち調査はお断りします。この時点で税務署は、既に診療所の税務上の問題点等を事前に把握して調査に来訪しています。納税者の都合が優先されるべきである事を主張して、後日の調査を受諾します。

当日は概況調査から

 調査当日、調査官は医師の生活歴や診療所の来歴、趣味や家族構成や診療所との関わりの有無、休日の過ごし方、診療時間等一見税務とは関係がないような情報の聴き取りを始めます。これにより、医師等の日常の活動を予め捕捉し、その事実が後で調査する帳簿等の記帳内容と矛盾しないかを点検するとともに、調査の着眼点を絞り込んでいるのです。

 また、日常の現金管理は誰がどのようにしているのか、記帳や入出金は誰が担当しているかなどを聴き取ることにより、収入計上漏れと必要経費以外の支出の記帳の可能性や記帳の信憑性を調査します。

 概況調査では、相手の意図を推測しながら語り過ぎない事が重要です。後で辻褄の合わない事態を招かないよう聞かれた事に簡潔明瞭に答える事を心がけます。

経営に役立てる医院の会計と税務

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