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平成21年度税制改正

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2009年6月】平成21年度税制改正

 平成21年度税制改正法案が3月に成立しました。今年の法案の特徴は、景気対策を名目に減税項目が多く盛り込まれていること、同時に附則第104条において3年以内に消費税引上げを含む抜本的税制改革を行うと明言したことです。21年度税制改革概要とともに消費税増税について考えることとします。

住宅取得控除

 借入金で住宅を取得した場合の住宅取得控除が大幅に拡充されています。年末借入金残高の1%を所得税などから控除するもので、10年間で最高500万円(一定の優良住宅は600万円)が控除されます。診療所と自宅の兼用の場合には、居住用割合が50%以上であることが条件ですから、その点を注意して活用すると良いでしょう。ただし、借入金の1%が支払うべき税金から控除される制度ですから、住宅借入金の通常の利息2%超に満たないわけで、銀行利息の全額を負担してくれる制度ではありません。従って借入をせずに購入できる場合には当然金利分の支払がない自己資金購入が有利となります。

土地税制

 平成21年と22年に取得した土地を将来売却した場合にはその「値上がり益」から1000万の特別控除が認められます。また平成21年又は22年に土地を取得した場合には、10年以内に限り、別の土地を譲渡した時に支払う譲渡所得税を減額する制度が設けられました。医院用の土地購入を今年又は来年に行い、将来別の土地譲渡による税額を節税する等の利用も考えられます。

法人に関する税制

 法人税は、800万までの所得に適用される税率を2年間に限り現行の22%から4%減額し18%に改定されます。電子計算機、デジタル複合機などの電子器具(一定のレセコンなど)を年間合計120万以上購入した場合の税額控除も2年間特例が延長適用されます。この事業基盤強化税制は個人にも適用されます。また、景気の悪化に対応して、欠損金(赤字)を前年の黒字の所得に繰戻して前年の税金を還付する繰戻還付の制度が規定されています。

3年以内の消費税増税

 税制改革法案附則第104条には、「平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記しました。減税規模は6850億円と近年では最大規模の減税ですが、住宅、土地、法人を中心として金持減税との批判もなされています。消費税は、所得の大小に関わりなく課税される逆進型の大衆課税です。減税を一部の高額所得者に限定し消費税増税を付記するのは税のあり方として本末転倒ではないでしょうか。

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