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改正税法、今年度確定申告はこの点に留意を

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2012年2月】改正税法、今年度確定申告はこの点に留意を

  確定申告の時期をむかえ、1年の締めくくりの時期となりました。平成23年分申告について、税制改正事項を中心に留意点を報告します。

16歳未満は扶養控除の対象外に

 所得税計算については、子供手当創設等により、扶養控除の対象者は年齢16歳以上に限定されました。平成8年1月1日以前に生まれた人のみが扶養控除の対象となります。
  住民税では16歳未満の年少扶養親族を含めて均等割や所得割の計算をするので、確定申告書に年少扶養親族の数を記載するのを忘れない事が重要です。この記載を忘れると住民税の額が多く計算されてしまいます。
  また、特定扶養控除は、19歳以上22歳までに限定されました。結果的に、16歳から18歳は通常の扶養控除38万のみとなります。
  以上の改正はいずれも平成23年分所得税確定申告から適用されます。

大幅に拡充された税額控除

 寄附金は、従来は所得から控除する事となっていました。
  学校法人や認定NPOなどに対する寄附金は、平成23年分確定申告から、所得からではなく納めるべき税額から控除する事ができるようになりました。
  具体的には、社会福祉法人、学校法人など公益法人に対する寄附金、認定NPO法人に対する寄附金、共同募金会などに対する義援金が対象となります。
  これらの寄附金は、所得金額の40%(共同募金会などの義援金は80%)以内であり、また納めるべき税額の25%以内を限度として、税額から控除する事ができます。
  一般的には、所得控除より税額控除が有利です。確定申告の際には忘れず適用を受けるようにします。
  申告の際には、領収書や証明書など必要書類が定められていますので、添付を忘れないようにします。

通勤交通費の限度額改定に注意

 平成24年1月分から、自動車など交通用具利用者の通勤交通費の限度額が大幅に減額されています。
  片道15キロを超える通勤について、距離限度額を超えたとしても最高10万円までは非課税とされていました。
  今回の「改正」で、距離限度額を超えた場合には、その超えた金額が直ちに給与所得して課税される事になります。例えば15キロ以上25キロ未満の場合には、月額11,300円が限度額となります。平成24年1月からの改正ですが、直ちに給与計算などに影響します。
  給与計算に誤りがあった場合、過去にさかのぼり従業員や役員の源泉所得税の負担が増加しますから留意が必要です。
  なお、電車など公共交通機関利用者に対する限度額は従来通り10万円となっています。

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