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災害で税の減免を受ける

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2018年9月】災害で税の減免を受ける

 近年、地震や台風、風水害などの自然災害が多発しています。災害に際して適用される税の軽減規定はほとんど知られていません。多額の税が軽減されることになりますが、確定申告しなければ適用はありませんから、知っていることが重要な税の規定です。
 今回は、自宅や家財などに損害を受けた場合に忘れてはならない有利な税の規定を解説します。

自宅や家財道具などが災害により損壊した場合

 雑損控除という所得控除の適用があります。生命保険料控除や扶養控除と同じ所得控除で、経費のように所得から差引きします。

 風水害、地震、火災などのほかシロアリなどによる虫害も含まれます。

 確定申告に際して、自宅などの損壊前後の状態、自宅の購入金額、修繕費用や取壊し費用などの資料を用意します。購入金額が不明の場合に一定の計算式を代用する場合もあります。

 ただし、火災保険や地震保険等で補填される金額は損害から差し引きます。

 また、自宅や家財を取壊し、除去した場合の取壊し費用や廃材撤去費用も「災害関連支出」として控除の対象となりますが、災害から1年以内に限ります。控除額は次のいずれか多い金額です。

  1. 災害関連支出を含む損失額からその年の総所得金額の1割を差引いた残りの金額
  2. 災害関連支出の金額から5万円を差引いた残りの金額

 別荘など生活に通常必要ないものや事業用の資産は対象外です。屋根、壁のふき替えや修理、墓地の復旧、車の修理などが認められます。

翌年以降3年間の繰越控除も可能

 雑損控除が大きくてその年の所得から控除できない場合には、損失を繰り越し翌年以降3年間の所得から控除することも可能です。青色申告でなくても適用可能です。給与所得者でも確定申告すれば雑損控除の適用があります。

災害減免法で税の軽減を受ける方法

 雑損控除を受けない場合には、災害減免法の適用を受けることも可能です。雑損控除と異なり、自宅などの時価が不明である場合にも受けやすい制度です。

 築年数が古い住宅で自宅の時価が少ない場合、修理せず建替えをする場合などに利用すると良いでしょう。

雑損控除との違いは、

  1. 所得の金額が1,000万以下であること
  2. 損失の金額が自宅などの時価の2分の1以上であること

という条件が加わることです。

 所得の金額が500万円以下なら税は本来の税額は全額免除、所得金額が500万以上で750万円以下なら半額免除、750万円以上で1,000万円以下なら4分の1免除です。雑損控除と同様に確定申告してはじめて適用があります。

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