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平成25年分より適用される所得税の改正事項

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2013年2月】平成25年分より適用される所得税の改正事項

 平成25年1月から以下の内容で所得税が改定されています。次年度の申告を視野に入れて適切な対応が必要です。

給与所得控除の上限を新設

  医療法人などから給与所得を受取る場合、従来その給与所得から控除される給与所得控除には上限がなく、最低でも給与の金額の5%を控除する事が可能でした。

  平成25年1月からは、年間1500万円以上の給与については上限が設けられ、給与所得控除は最高245万円とされました。月額125万円以上の給与を受取る場合には、従来に比べて増税となります。

  給与収入1500万円のみで扶養親族がない場合、900万円を超える所得に対し住民税込で43%の税率が適用されます。法人税の実効税率(約38%程度)と比較しながら節税対策が必要となります。

復興特別所得税の創設

  平成25年1月より、通常の所得税に2.1%の税率を乗じた金額の復興特別所得税が課税されます。これにより、所得税は最高40.84%の税率となります。

  また、確定申告で納付する所得税はもとより、従業員の源泉徴収税額、税理士司法書士などの源泉徴収税額なども全て復興特別所得税が課税されますので注意が必要です。

国外財産調書制度の新設

  平成25年12月末に5000万円以上の国外財産を有する場合には、国外財産調書を翌年3月15日までに税務署に提出する制度が新設されました。

  調書を提出した場合には、申告した国外財産について相続税や所得税の申告漏れがあったときには加算税が5%減額され、逆に無申告の場合には加算税が5%増額されます。

  現状でも、租税条約に基づき国税庁は諸外国に日本人が有する資産や所得の情報を入手しています。今回は、懲役や罰金を伴う法定調書として制度化された点が留意点です。該当する場合には、調書の提出を忘れないようにすることです。

帳簿の保存対象者の拡大

  税法では、帳簿等の書類保存期間は7年、請求書納品書などは5年と定めています。

  従来白色申告者で前年分又は前々年分の合計所得金額が300万円以下の場合に課されていなかったこれらの書類保存義務が、所得にかかわらずすべての申告者に課される事となりました。

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