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税務調査と会計ソフト

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2006年3月】税務調査と会計ソフト

 最近の税務調査では、会計ソフトによる経理処理をしている場合のトラブルが多くなっています。

 今回は、会計ソフトを使用している場合の注意点と税務調査の問題点をとりあげます。

会計ソフトの長所短所

 医業でも、最近会計ソフトを使用して記帳を行っている診療所が増えています。確かに会計ソフトは、(1)記帳をまとめて行える、(2)訂正が容易である、(3)計算が事実上不要であり正確な記帳が可能、(4)診療所の経営状態を日々把握する事も可能である、など様々な長所を持っています。しかし、半面(1)窓口現金残高など日々確認して計上すべき処理がおろそかになる、(2)ある程度正確な簿記の知識がないと不正確な記帳処理となる、(3)記帳が容易なだけに処理が遅くなり会計ソフトのせっかくの長所を生かせない、などの短所も併せ持っています。

データ保存のポイント

 便利な会計ソフトですが、その保存と読み書きについては、まだまだ大きな弱点を持っています。フロッピーやMO、CDなどの磁気媒体は紙のように長期の保存に適さず、また直射日光などで急速に劣化すると言われています。

 更に、パソコン内部の記憶装置であるハードディスクは、元々高速で常時回転する機械ですから、壊れる危険性があります。現に筆者の顧問先でも苦労して入力したデータがハードディスクの故障により消失してしまったという事故が何件も生じています。

 要はパソコンを過信せず、データを必ず外部の磁気媒体に保存する事です。更に、筆者は、3個の同じ内容の外部保存を勧めています。

税務調査と現金記帳

 税務調査で特に問題となるのは、正確な収入の計上です。診療所においては、窓口現金が過不足なく計上されているかどうかが特に重要です。レジ使用の有無に関わらず日々の現金収入と残高に間違いはないか確認する事です。最悪の場合には青色申告の取消と専従者給与の否認を招く重要な問題である事を念頭に置きましょう。

年度更新後には必ず印字保存を

 税法は、現金出納帳や総勘定元帳などの帳簿を7年間保存する事を求めています。一定の場合には、電子保存が可能ですが税務署長に事前に届出が必要です。

 更に、最近の税務調査では、会計ソフトを使用している場合、電子データそのものの複写を要求し、更にパソコンの内部情報全部を調査の対象にするよう求める場合があります。このような要求は納税者の同意を得て行われる通常の税務調査では、いずれも断る事が可能です。しかし、帳簿を紙で保存していない場合には帳簿の不提示を理由に、青色申告の取消が行われます。

 年度更新後には、紙媒体でのデータ保存を忘れない事が特に重要です。

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