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確定申告後の年間納税額と資金計画

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2006年4月】確定申告後の年間納税額と資金計画

 確定申告が終了すると、今後の1年間の納税額や納税時期も同時に確定します。今回は、所得税、住民税、事業税、消費税等の予定納税などの資金計画について説明します。

所得税は予定納税

 確定申告終了により、国税である所得税の平成17年度分の納税が終了します。確定申告により納付税額が発生した場合には、原則として次年度である平成18年度の予定納税義務が生じる事となります。医業のみの場合、社会保険診療報酬支払基金からの報酬について源泉徴収された後の申告納税額(申告書の38番の金額)が15万円以上である場合には、その金額の3分の1をそれぞれ7月と11月に前納する事となっています。この前納額は、当然平成19年3月の確定申告時に納税額から控除されます。

予定納税の減額制度

 前年分の所得に比して本年分の所得が70%以下となる場合や、医業の休止や廃止、災害等一定の事情がある場合予定納税額の減額制度を利用できます。毎年6月30日と10月31日の現況によりその年分の所得を見積もり、減額の申請をする事が可能です。

住民税は前年度課税

 所得税に対して、住民税は前年度課税とされ、平成17年分の所得を基準に平成18年度の税額が計算されます。つまり、所得税に比べると住民税は後払い的な納税となります。従って、平成18年1月以降に所得が大幅に減少したとしても、住民税は前年度の所得を基に計算されますから、所得税のような減額制度は設けられていません。

 住民税は、毎年6月、8月、10月及び翌年1月の各月に市役所等からの納税通知により納付する事になっています。

事業税と消費税

 医業の場合、事業税は原則として非課税ですが、自費診療がある場合には、自費に関する所得について事業税が課税されます。医業所得から事業主控除290万円を控除した残額の5%が税額となる仕組みです。但し、事業税については扶養控除や基礎控除などの所得控除は適用されません。事業税は毎年8月と11月に納税通知により年税額の2分の1を納付します。

 消費税も、医業の場合保険診療については課税されず、自費診療収入についてのみ課税されます。消費税確定申告書の年間税額(9番の金額)が48万円を超える場合には、年間税額の半額を毎年8月末日に納付します。実際には地方消費税(1%)が同時に課税されますから、上記の国税消費税(4%)の4分の5が納付金額となります。

資金計画に基づいた納税

 年間税額を予想し、1年間の納税計画を作成しておく事により手元の税引後実際資金が把握できるようになります。医業経営が厳しくなる中で、毎月の資金管理を的確に実行する事が重要です。年間資金計画表は別表を参考にしてください。

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