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平成22年度税制改定

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2010年8月】平成22年度税制改定

 前回は小規模企業共済制度改定をとりあげましたが、今回はその他の重要な平成22年度税制改定を解説します。

扶養控除制度の改定

 既に報道されているように年齢16歳未満の年少扶養親族に対する扶養控除が廃止されます。高校授業料の「実質無償化」により年齢16歳から19歳未満の扶養控除の上乗せ(25万円)も廃止されます。これらの扶養控除の廃止に代わって子供手当や給付つき税額控除という制度が導入される予定ですが、現状では子供手当などが完全実施されていないため、これらの扶養控除の廃止は平成23年以降の実施とされています。

継続される少額減価償却資産の必要経費算入

 現行で青色申告者に限り、1個1組30万円未満(税込経理の場合は消費税込)の減価償却資産を取得して医業の用に供した場合には、年間合計300万円までについては必要経費算入が認められています。この少額減価償却資産の必要経費算入の規定が引続き適用されることになりました。

  同様に、中小企業者が機械等を取得した場合の税額控除制度も引き続き2年間間延長して適用されます。

拡充された住宅資金贈与制度

 従来直系尊属(父母、祖父母等)から住宅を取得するための資金贈与を受けた場合には、贈与を受けた資金の内、年間で500万円までが非課税とされていました。今回、この非課税枠が拡充され、平成22年贈与の場合には1500万、平成23年贈与の場合には1000万円となりました。但し、これらの規定を受けて住宅を取得した者の合計所得金額が2000万円以下である場合に限られます。

  この規定の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得し居住の用に供することが必要です。また、翌年3月15日までに、贈与税の期限内申告書の提出が必須とされていますので注意が必要です。

  居住用割合が2分の1以上であることが条件ですから、自宅兼診療所の自宅部分の資金について適用が可能です。

消費税増税の動向に注意

 上記のように具体的には大きな改定がない今回ですが、今後法人税の減税と消費税の増税が事実上抱き合わせで予定されている事が大きな問題です。消費税はどのような修正を行おうと弱者や中小企業などに負担を強いる逆進性の高い税である事に変わりはありません。医療や福祉に対する課税問題も含め今後も消費税増税の動向に注意が必要です。

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