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9月30日せまる消費税経過措置の期限

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2013年8月】9月30日 せまる消費税経過措置の期限

 平成26年4月1日より消費税増税が実施される予定です。景気条項に従い、最終的に増税が実施されるか未定ですが、増税を見越した経過措置の期限が9月30日に迫っています。

 今回は、平成26年4月以降も消費税5%税率が適用される経過措置について解説します。

経過措置とは

 消費税が増税された場合、社会保険診療報酬を除き、医院の収入や経費などの取引に対して、4月1日から原則8%の消費税が課税されます。

 ところが、一定の経過措置が設けられ、4月1日以降も5%のまま課税される場合が規定されています。

 具体的には、

  1. 請負(工事)等
  2. 資産の貸付
  3. 通信販売
  4. 旅客運賃等
  5. 電気料金等
  6. 特定新聞等
  7. 予約販売に係る書籍等
  8. 有料老人ホームの入居一時金等
  9. 冠婚葬祭などの指定役務等

の取引です。

請負工事等

 診療所の改築、増築、修繕などには消費税が課税されますが、平成25年9月30日までに請負契約書を締結した場合、実際の工事完了引渡しが平成26年4月以降であっても、消費税は5%のままとなります。

 この経過措置は、納税者の選択により適用するものではなく条件に該当すれば自動的に適用されると解釈されます。

 但し、請負金額などが当初の契約と異なった場合、当初契約金額を上回る金額に対しては8%の税率が適用されます。

資産の貸付(リース)

 診療所の賃貸借契約については、契約書が平成25年9月30日までに締結されなお且つ26年3月31日までに実際に賃貸が行われていれば、平成26年4月以降も賃貸料の消費税は5%のままとなります。契約書には貸付期間や賃料、事情変更により賃料変更できるとの記載がない事が必要です。

 契約書に記載された契約期限までが5%対象期間となります。自動継続条項があり、契約が自動的に更新される場合には、更新後の期間は8%の税率が適用されます。

 一定のリース取引による診療用資産の購入についても同様の取扱いが適用されます。

その他の経過措置

 予約販売に係る書籍等の譲渡、有料老人ホームの入居一時金、冠婚葬祭の利用料は、平成25年9月30日までに契約する事が条件となっていますが、その他の経過措置はそのような規定がありません。

 ただし、通信販売の場合には、9月30日までにカタログやホームページに金額などが記載されているものに限り5%税率が適用されます。

経営に役立てる医院の会計と税務

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