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配偶者控除が大幅改定どうなるパート社員の給与

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2017年8月】配偶者控除が大幅改定
どうなるパート社員の給与

 平成30年1月から、配偶者控除が変わります。103万円の壁はどうなるのか。従業員の給与を増やしてもよいのか。逆に世帯の税社会保険控除後の手取りを減らすことはないのか。従業員は妻、その配偶者を夫として解説します。夫の給与により細かく控除額の増減がされたこと、妻の給与が150万以下まで控除ができる場合があること、社会保険の被扶養者の規定は改定されなかったことの3つがポイントです。

改定前のしくみ

 妻の給与が103万円以下なら、夫の給与の多寡に関係なく、夫の給与から38万円を控除する配偶者控除がありました。妻の給与が103万円を超えても141万円までなら、夫の給与が1220万円以下であることを条件に、控除額が段階的に減少しながら適用される仕組みでした。

夫の給与が1220万円を超える場合

 改定により、夫の給与が1220万円を超える場合、平成30年から配偶者控除は一切なくなります。よって妻である従業員の給与が103万円以下でも、夫の所得税は増加します。このケースでは、改定以後は従業員に給与を増やしても配偶者控除に左右されず、基本的には世帯の手取りは増えるということです。

夫の給与が、1120万円以下の場合

 従来は、妻の給与が103万円を超えると配偶者の控除額は減少していました。

 改定により、夫の給与が1120万円以下である場合、妻の給与が103万円を超えても150万円までなら配偶者の控除は減少せず、夫の給与から38万円が控除されます。妻の給与が103万円以下なら従来どおり38万円の控除があります。また、妻の給与が150万円を超えても201万以下まで段階的に控除額が減少しながらも控除が行われる仕組みとなりました。

夫の給与が1120万円から1220万円までの場合

 改定により、妻の給与が103万円以下でも、夫の給与から控除される配偶者控除は38万円満額ではなく減額となります。夫の給与が1170万円を超えると13万円、以下なら26万円となります。

改定されなかった社会保険の被扶養者 扶養手当にも注意

 妻の給与が130万円以上となると夫の社会保険の扶養から外れますので、妻は自分で社会保険等に加入する義務が生じ、妻の税と社会保険控除後の手取りは20万円程度減少します。従って、いわゆる103万円の壁は部分的に解消されましたが、130万円以上の給与を支払う場合には従業員の手取りが大幅減となることに注意が必要です。

 また、夫の給与に加算される配偶者手当は、従来どおり103万を条件とする場合もあります。この点も税や社会保険以上に重要なポイントとなります。

給与改定について検討すべきポイント

①まず夫の給与(配偶者手当)が減額とならないかに要注意
②130万以上の給与は、妻が独自に社会保険加入となる
③130万未満までの給与は、夫の給与が1120万円以下なら、世帯全体の手取り収入を増やす

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