幸せを遺す知恵の“話(ワ)”①
税理士 三瀬 義男
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【2016年1月】幸せを遺す知恵の“話(ワ)”①
皆さまご無沙汰しています。前回、“知って安心!開業医の相続対策”に引き続き、今回は“幸せを遺す知恵の話(ワ)”と題して医業承継(家業)としての相続税対策ではなく、事業と切り離した家族の財産(家産)を焦点として相続税対策を紹介します。
なぜ不動産投資は相続税の節税になるのか?!
第1回目はアパート建設やマンション等の不動産投資と相続税の節税のカラクリをお話します。今後、本業とは別に相続税対策として不動産投資を検討されている方は参考にしてください。賃貸物件を建築する際、よくハウスメーカーは、「遊休地や駐車場用地に収益物件を建てて借金すれば、相続税対策になります」と言って営業します。この場合、確かに相続税対策になりますが、借金として債務が発生するから相続税対策になるわけではありません。借金してもキャッシュ(現金)で支払っても同じように相続税対策になります。借金の有無は関係ありません。
想像してみてください。1億円の現金と1億円で買った不動産を。どちらも同じ時価ですが、相続税の評価の算定方法は違います。現金1億円は必ず1億円です。しかし、1億円で買った賃貸物件の相続税評価は約3500万円に建てた段階から一気に下がります。つまり、相続税対策のキモは時価と相続税評価の差異に着目することです。もっと言えば、財産の種類をコントロールすることです。
この場合、不動産投資の相続税対策として注意しておかなければならない事が2点あります。1つ目は空室による不良物件にならないための事業収支の検討です。相続税の節税にはなったけど、次世代へ不良財産を残せば本末転倒の結果になります。2点目は、不動産投資による相続税の節税効果はあくまでも短期間であるということです。長期的にはキャッシュ(賃料収入)が増加するため逆効果になります。
そこで、目先の利益にとらわれない、相続税対策と不動産投資を考える必要があります。相続税を節税するためだけにアパート建設や不動産投資をするのではなく、もっと長期的な視野に立ち、将来の家族の円満な承継を目的として考えなければなりません。
その解決のヒントとして法人を新たに活用してはどうでしょうか。法人は、人と同じ人格を持ちながら、死にません。法人に蓄積された財産は相続税が課税されません。例えば、子どもが法人を設立します。法人は医業に付随する事業用財産や不動産を事前に買い取り、その収益を次世代、次々世代に分配・管理することで家族の財産を自由にコントロールすることができます。次回は法人の設立から活用方法まで具体的な対策事例を紹介します。
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