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診療所賃借の会計と税務

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2008年2月】診療所賃借の会計と税務

 医療ビルなどで賃借形式により診療所を開設している場合に特に注意したい会計税務上のポイントを解説します。

借家人賠償責任特約とは

 賃借診療所の場合、通常家財の火災保険には加入していますが、意外に忘れがちなのが家主(賃貸人)に対する賠償責任保険です。日本では失火法があり、隣家への補償は軽減されています。しかし借家人には賃貸借契約により原状回復義務があるため、家主に対する補償は免除されません。万が一失火等により賃借建物の内装等を毀損した場合、家財保険だけでは家主に対する原状回復に必要な保険金は下りない事になります。借家人賠償責任特約はこのような家主に対する原状回復に必要な費用に備える特約です。不安な場合には是非検討すると良いでしょう。

 原状回復に要した費用が受取った保険金を上回る場合のその差額は、医業の必要経費とする事が可能です。また、失火等により自己所有の医療用機材等について生じた損失は資産損失として別途必要経費とする事が可能です。

新価保険と地震保険

 家財保険に加入する場合、通常の場合保険金はそのものの耐用年数経過後の「時価」金額のみが補償されます。買換えに必要な新品価額は補償されません。このような場合、「新価」保険に加入することにより買換えに必要な価額の保険金が補償されることになります。

 また地震により生じた火災については通常の火災保険では補償外となります。建物本体は家主が加入するものですが、家財について賃借人が火災保険と共に加入することが可能です。

 これらの保険料は、医業の必要経費とする事が可能です。

権利金や敷引の経費算入

 診療所賃借時には、権利金や敷金を要求されます。権利金は賃貸契約終了時に返還されず、また敷金の内一定の部分も契約により返還されない場合が多いようです。これらの返還されない部分は原則として五年間にわたり毎月60分の1の金額を減価償却費として経費算入する事を認められています。


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