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【2022年11月】続・令和5年3月末期限のインボイス発行事業者登録申請

経営に役立てる医院の会計と税務税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

続・令和5年3月末期限のインボイス発行事業者登録申請

 令和5年10月からのインボイス制度では、免税業者からの仕入等について、消費税分の仕入税額控除ができなくなります。外注先である検査業者や技工先などが免税事業者である場合などが考えられます。これらの免税事業者に対する消費税分の支払いをするのか、する場合にはいくらを支払うかが検討課題となります。

免税事業者は消費税を請求できるか

 インボイス登録事業者ではない免税事業者は、インボイスの発行ができなくなります。この免税事業者が、従来通り請求書等に消費税を記載することについて禁止する法令はなく、引き続き免税事業者が消費税相当分の請求をすることも想定されます。
 判決は、消費税は「預り金ではない」価格の一部・・・・・であるということを明示しています。また、旧転嫁対策措置法では、免税事業者への買いたたきを禁止する条項を設けていました。すなわち、免税事業者が消費税名目の価格を請求することは法令違反ではないという考え方です。

独占禁止法等で禁止される行為とは

 公正取引委員会は、免税事業者との価格交渉に際して、「優越的地位の乱用」に当たる場合には、独占禁止法や下請法等に違反すると明示しています(公正取引委員会「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」)。
 取引対価の引き下げや、商品の受領拒否、返品、取引の停止、登録事業者となるような慫慂等の事例ごとに「優越的地位の乱用」となる場合を例示しています。
 課税事業者となるよう要請することは問題ではないが、要請に応じない場合に一方的に価格を引下げたり取引を停止することは、独占禁止法等に違反することになります。
 免税事業者であっても自己が支払いする事業経費については消費税を負担しているのは事実です。このような点をも考慮し、医院と下請け先が被る消費税をどのように負担するか、双方の負担額に応じた事実にもとづく話し合いが必要です。一方的な通告は法令違反となる可能性があることに注意が必要です。

簡易課税と経過措置にも注意

 自己が簡易課税を選択する事業者である場合や自己が免税事業者である場合には、仕入分の消費税相当額を控除計算する必要はなく、そもそも外注先などからのインボイスを必要としません。また、支払いするインボイスを7年間保存する義務もありません。

免税事業者からの仕入について適用される経過措置

 免税事業者からの仕入等であっても、令和5年10月から3年間は80%、令和8年10月から3年間は50%の仕入税額控除が認められる経過措置が適用されます。こうした経過措置を含めて、免税事業者との価格交渉が必要となります。

まとめ

 免税事業者からは引続き消費税が記載された請求書が発行されることも予想されます。徒に強引な価格交渉は独占禁止法違反となる点を考慮し、双方が合意できるまで交渉する姿勢が重要です。併せて、簡易課税の適用や経過措置を考慮しながら価格交渉を行いましょう。

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