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【2021年11月】令和3年分確定申告で注意すべきコロナ特例等

経営に役立てる医院の会計と税務税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2021年11月】令和3年分確定申告で注意すべきコロナ特例等

 令和3年分の所得税確定申告については、大幅な改定がなかったものの、各種のコロナ関係の特例措置が設けられています。これらの特例を踏まえて、適正な確定申告をすることが必要です。

感染拡大防止等支援事業による交付事業補助金の収入計上

 令和3年3月31日までの感染拡大防止費用等にあてるため、無床診療所の場合100万円を限度として支給された補助金です。令和3年1月から3月までの見積もり費用について交付申請し、かつ令和2年の所得として申告していない場合には、令和3年1月から3月までの費用に相当する補助金を令和3年分の収入として計上することが必要です。申告漏れがないように特に注意する必要があります。
 なお、10万円を超える一定の備品等の固定資産について補助金の交付申請をしていた場合には、固定資産の価格から補助金相当額を控除し、補助金と固定資産を相殺するいわゆる「圧縮記帳」制度を選択することができます。圧縮記帳を選択した場合、相殺した補助金の金額は収入に計上されなくなりますが、固定資産の金額も減少しますので、翌年以降の減価償却費も減少することになります。この場合には、確定申告書に「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」の添付が必要です。

PCR検査費用の医療費控除の適用について

 感染の疑いがあるとして医師等の判断により受けたPCR検査の費用は、医療費控除の対象となります。単に感染していないことを明らかにする目的で受けるPCR検査など、自己の判断により受けたPCR検査の検査費用は、医療費控除の対象となりません。
 ただし、検査の結果、陽性となり治療が行われた場合には、治療に先立つ検査であるとして、医療費控除の対象とされます。

オンライン診療に係る諸費用の医療費控除の適用について

 オンライン診療により支払った、オンライン診療料、オンラインシステム利用料、処方された医薬品の購入費用は、医療費控除の対象となります。ただし、医薬品の配送料は医療費控除の対象とはなりません。

住宅取得資金贈与の特例

 親などの直系尊属から住宅資金の贈与を受けた場合、住宅の種別に応じて1500万円から500万円までの金額は、所定の申告をした場合贈与税は課税されません。原則として、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得し、かつ遅くとも贈与年の翌年12月末までに居住する必要があります。
 令和2年中に贈与を受けた場合、感染拡大防止による工期延長などやむを得ない場合、取得期限と居住期限が延長されており、令和4年3月15日までに住宅を取得し、令和4年12月末までに居住すれば良いこととされています。令和3年中の贈与について特例はなく原則通りとなっています。

申告書捺印の廃止

 令和3年4月から担保提供関係書類など一定の書類を除き、確定申告書を含む税務関係書類については捺印が廃止されています。

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