【2021年10月】これからできる節税チェックポイント
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2021年10月】これからできる節税チェックポイント
年末を控え、決算対策のチェックが必要な時期になりました。あらためて、節税のポイントに漏れがないか確認してみましょう。
1.青色申告特別控除の改定
令和2年分の確定申告から、青色申告特別控除が改定されます。
電子帳簿保存法の適用を受けるか、電子申告の方法で申告するか、いずれかの場合には従来通り65万円の控除が適用されます。単に複式簿記等の方法で記帳しているだけでは控除額が55万となります。
2.専従者給与
事業主が青色申告者で、青色事業専従者給与の届出書を提出している場合で届け出た専従者給与の金額が労務の状態にそぐわないときは、遅滞なく変更届出書を所轄税務署長あて提出し、増額(減額)することができます。
親族であっても、非同居で別に生活しているような場合、一般の従業員給与となり、届出することなく支払いが可能です。
3.少額減価償却資産
青色申告の場合、一個一組の金額が税込30万円未満(税抜き経理の場合には税抜き金額)の減価償却資産は、年間合計300万円以下を上限として必要経費に算入できます。ただし、年末までに実際に事業の用に使用しなければなりません。
確定申告書に、合計金額等を記載する必要があります。
4.短期前払費用
継続して役務の提供を受ける契約に基づいて支払われる家賃や地代などについては、月払が通常ですから毎月分が必要経費となります。
但し、支払った時から1年以内分の家賃等を前払した場合には、短期前払費用の特例により、その前払家賃全額が必要経費となります。最低2年以上は前払経理を継続することが必要です。家主側は、令和3年分の家賃を前受したことになりますから、前受金を収入とせず令和2年分のみを収入計上することが可能となります。
5.小規模企業共済
小規模企業共済制度は、事業主の退職金制度として現在は独立行政法人中小機構が運営している制度です。
掛金(月額最高7万円)は、全額所得控除の対象となります。
11月20日までに納付月変更届を提出した場合、12月分から1年先払いが可能となり、先払いした掛金も全額所得控除の対象となります。なお専従者についてもこの制度を利用することが可能です。
6.社会保険料控除
国民健康保険料などの社会保険料については、親族の内誰か一人が、生計を一にする親族分をまとめて支払った場合には、親族分を含めて支払った人の所得控除の対象とすることが可能です。
所得の最も多い人にまとめて申告することができれば節税効果が最も大きくなります。
7.医療費控除
同居家族や同居していなくても生活費を共通している親族の医療費は、まとめて一番所得の高い人から控除すると節税につながります。所得の高い人は税率も高いため、控除されたり還付される税金が多くなる仕組みです。
8.障害者控除と扶養控除
障害者とは、通常障害者手帳の交付を受けている者を言います。但し、65歳以上で、寝たきりや認知症の状態が一定の基準に該当し、「身体障がい者又は知的障がい者に準ずる」と認められる場合に、市区町村の「障害者控除対象者認定書」の交付を受け、障害者控除の適用を受けることが可能です。
また、年末調整で扶養控除の対象とした扶養親族については、確定申告時に、年末調整とは異なる者の扶養親族とすることが可能です。
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