補助金・助成金の会計と税務〈下〉
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2020年9月】補助金・助成金の会計と税務〈下〉
従来は一部の利用に限られていた補助金・助成金が、コロナウイルス感染症により多くの医療機関が利用するところとなっています。医療機関での補助金助成金とその会計税務について2回に分けて解説します。〈前号からのつづき〉
家賃支援給付金は、決定(入金)時に収入計上
家賃支援給付金は、5月から12月までの間において、いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少するか、連続する3カ月の売上高の合計額が前年同期比で30%以上減少する場合に、家賃の6カ月分に相当する給付金が受けられる制度です。限度額は法人で600万円、個人事業者で300万円です。申請期限は令和3年1月15日です。
消費税は非課税、所得税や法人税は課税となっています。
賃料の円滑な支払いに資するための給付金であり、家賃そのものの補填をするものではないため、決定通知が届いた日または入金があった日のいずれか早い日に収入計上します。
固定資産税等減免制度は会計処理不要
固定資産税減免制度は、令和三年分の固定資産税及び都市計画税の減免制度です。令和2年5月から10月までの間において、連続する3カ月の売上高の合計額が前年同期比で50%減少した場合には全額、30%以上50%未満減少していた場合には2分の1が減免されます。
税理士等の認定支援機関の収入減少の確認書が必要です。申請期限は、令和3年1月31日です。
令和3年分の固定資産税が減免されるものであり、特別の会計処理は不要です。
新型コロナウイルス感染症対応従業者慰労金
新型コロナウイルス感染症対応従業者慰労金は、患者と接する医療従事者や職員に対して、1人当たり5万円から20万円の慰労金を支給する制度です。
医療機関等で取りまとめて代理申請しますが、医療従事者に支給されるものです。
消費税、所得税、法人税は課税されず非課税です。給与として源泉徴収しないようにします。
感染拡大防止等支援事業による交付事業
新型コロナ疑い患者とその他の患者が混在しない動線確保など院内での感染拡大を防ぐための取組を行う医療機関・薬局等について、感染拡大防止対策等に要する費用の補助を行うものです。清掃委託、洗濯委託、検査委託、寝具リース、感染性廃棄物処理、個人防護具の購入等が例示されていますが、要綱では賃金、報酬、謝金、会議費、旅費、需用費(消耗品費、印刷製本費、材料費、光熱水費、燃料費、修繕料、医薬材料費)、役務費(通信運搬費、手数料、保険料)、委託料、使用料及び賃借料、備品購入費等が記載されています。
令和2年4月1日から令和3年3月31日までの経費が対象です。
既に、支出した経費に対する交付ですので、未収計上が必要です。将来支出する予定経費も含めて概算申請する場合には、年度内に支出する経費に対する交付金のみを収入計上します。
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