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医業でも可能な中小企業等経営強化税制の活用

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2018年11月】医業でも可能な中小企業等経営強化税制の活用

 中小企業等経営強化税制は、一定の設備投資について、取得金額を全額その事業年度に必要経費とする即時償却又は最大10%税額控除を特色とする措置法税制です。医療保険事業者が取得する医療機器等は対象外であるため、レセコンソフトや医療機器以外の器具備品などに活用できる制度です。平成31年3月末までに適用期限が迫る中小企業等経営強化税制について解説します。

1 医療機器以外の備品やソフトウェア

 青色申告者が平成29年4月から平成31年3月末までに取得した以下の資産が対象です。いずれも、中古資産や貸付資産でないこと、経営力向上計画の認定を受けることが条件です。
 但し、医療保険事業者が取得する医療機器・建物付属設備は対象外です。従って医療保険事業者にとって対象となるのは、医療機器以外の一般の器具備品とソフトウェアです。

2 経営力向上計画の認定後に取得

 対象資産がA類型の場合には「証明書」取得、B類型の場合には経産局の確認が必要となります。
 A類型は、生産性が旧モデルより平均1%以上向上すること等につきメーカーが工業会等から証明書を取得した製商品が対象です。A類型は、工業会等が税制に適格する旨の証明書を発行します。税制適格かどうかは販売店等に確認します。
 B類型は、設備投資により年平均5%以上の収益率向上をすることにつき、事業者である医院が経産局に申請し経産局の「確認」を取る仕組みです。
 A類型の「証明書」取得、B類型の経産局「確認」後、厚生労働大臣に「経営力向上計画」の認定を申請します。認定にはおおむね1か月を要し、原則として認定された後に対象資産を取得することになります。

3 確定申告手続き

 確定申告書に、認定を受けた経営向上申請書を添付し期限内に申告します。税額控除を選択する場合には、その年の所得税の20%が限度額となります。その年に控除できなかった税額控除の控除不足額は翌年に繰り越すことが可能です。

4 固定資産税額の減額

 認定を受けた経営力向上計画により取得した設備については、固定資産税が3年間にわたり2分の1に減額されます。固定資産税の減額措置は、医療用機器や建物付属設備についても適用があります。

類型 A類型 B類型
確認者 工業会等 経済産業局
対象設備 器具備品 30万円以上 販売6年以内 器具備品 30万円以内
ソフトウェア 70万円以上 販売5年以内 ソフトウェア 70万円以上
建物付属設備 60万円以上 販売14年以内 建物付属設備 60万円以上

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