相続税の世界を体感せよ!~小規模宅地の特例って…ナニ?~②
税理士 三瀬 義男
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2018年2月】相続税の世界を体感せよ!~小規模宅地の特例って…ナニ?~ ②
今、相続税の節税スキームは、一般のマスコミや週刊誌を通して、広く紹介されています。その背景には、相続税の課税割合が当初4%から8.1%へ倍増したことに他なりません。富裕層に限定されていた相続税は、広く中間層にも意識として浸透しつつあります。
シリーズ2回目は、ぜひとも知って欲しい相続税の特例制度についてお話したいと思います。その特例とは、ズバリ!「小規模宅地等の減額特例」です。法律用語からして、難しく感じられますが、内容はシンプルです。
つまり、土地に対する評価の減額特例です。具体的に言えば、“事業をしている土地”、“居住している土地”をいいます。これらの土地は、相続の発生によって、被相続人の家族が生活基盤を失うことがないように、という配慮から設けられた制度です。例えば、亡くなった方の住んでいる土地であれば、330m²を限度に、通常評価の80%のディスカウントを受けることができます。また、診療所・クリニック、医療法人の使用に供している土地は400m²を限度に、80%のディスカウントを適用することができます。さらに、平成27年の税制改正より、この2つの土地については、ダブルで適用することができるようになりました。具体的数字で確認します。
自宅の土地(330m²)が3000万円、診療所の土地(400m²)が5000万円、そして、相続税の税率が30%のランクにあると想定します。特例適用前であれば、合計8000万円の土地に対して2400万円の相続税の負担が発生します。特例を適用した場合、その土地の評価は80%減額され、1600万円となります。同じく税率が30%のランクであれば、480万円の税負担となります。節税額は1920万円も圧縮されます。
それだけ、大きな節税効果を期待できるにもかかわらず、この制度に対する事前の対策がほとんどされていません。事前の対策といえば、地代の有無については、適用判定に大きく影響します。また、今回の平成30年の税制改正において、居住用の土地について、改正が入りました。要件は以前より厳しくなっています。
重要なことは、小規模宅地の特例を知ることです。そして、確実に適用できるようにメンテナンスを行うことです。地味な対策ですが、効果は絶大にあることを知っておいてください。
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