償却資産税の再確認を
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2014年12月】償却資産税の再確認を
最近、市区町村の財政状況を反映して、地方税である償却資産税に関する調査や指摘が増加しています。医科、歯科共に多額の追徴税額が発生する可能性のある償却資産税について解説します。
毎年1月31日が申告期限
償却資産税は、1月1日現在、事業所が所有する減価償却資産に対して1.4%の税率で課税される資産税で、1月31日が申告期限です。
例年、12月になると、申告書が市区町村から送付されます。
償却資産税は、賦課課税方式ですが、納税者の申告に基づき市区町村が税額通知をすることになっています。
対象資産は、車両以外の減価償却資産
申告の対象となるのは、事業所の所有する減価償却資産です。車両は、対象外です。具体的には、医療用機器、診療所内の備品などが対象です。賃借している診療所の内装も課税の対象となるので特に注意が必要です。リース契約によるリース資産は、リース会社に課税されますから、診療所に対しては課税されません。
減価償却を計上した後の残額に対して課税されますが、耐用年数が終了した後も取得価格の5%は残すことになっています。
課税標準が150万に満たない場合には償却資産税は課税されません。
30万未満の消耗品にも課税
取得価格10万円未満の消耗品には、償却資産税が課税されません。
また、取得価格20万円未満の3年間均等償却の対象とした資産も、償却資産税の対象とはなりません。
但し、青色申告をしている診療所が必要経費とした30万円未満の少額減価償却資産には、償却資産税が課税されることになっています。
つまり、20万円未満の減価償却資産が多数ある場合には、その年に全額経費とする少額減価償却資産の特例を選択せずに、三年間で均等償却する方法を選択したほうが、償却資産税の節税につながるということになります。
過去5年間遡及徴収
償却資産税の申告漏れがある場合、時効は5年となっています。過去5年にさかのぼり差額を支払うことになります。たとえ、申告書が送付されていない場合でも同様に不足税額を徴収されることに変わりはありません。
市区町村の財政難もあり、償却資産税の調査等が増加しています。市区町村は、税務署に提出された申告書添付の減価償却資産の明細を基に課税を行う事例が多発しています。
過去5年間となると相当多額の税額となる場合もあります。1月末の申告期限に備えて償却資産税申告状況の再点検をお勧めします。
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