税制改正と決算
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2012年10月】税制改正と決算
平成24年分の決算の留意点を解説します。重要な点は、消費税改正、減価償却費改正、それに一定の税額控除です。改正点を把握して、的確な決算対策を実施して下さい。
年末までに改正消費税の課税判定を
従来は、消費税を納める義務があるかどうかは、その年の2年前の年の消費税が課税される1年間分売上が1千万円を超えるかどうかにより判定していました。
平成25年分以降については、前年の1月から6月までの課税売上が1千万を超える場合には、課税事業者となります。但し、課税売上に代えて給与等の支払額により判定する事もできます。
もし、前年1月から6月までの課税売上(給与等)が1千万を超える場合には、平成24年12月31日までに消費税簡易課税選択届出書を提出する必要がある場合があるので要注意です。
減価償却の改正
通常個人事業者の減価償却方法は、定額法が原則となっています。しかし、初年度償却が有利な定率法を選択している場合、税制改正に注意が必要です。
平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産の耐用年数は、従来の250%から200%に短縮されています。但し、平成24年に限り、特例で250%償却を実施する事が認められていますので留意します。
雇用者の数が増加した場合の税額控除
年末の雇用保険対象の雇用者の数が前年末より2人以上かつ10%以上増加した場合には、確定申告により増加雇用者1人あたり20万円の税額控除が適用されます。この適用を受けるためには、その年3月15日までにハローワークに対して雇用促進計画を提出する必要があります。
新規開業の場合にはその翌年から適用されます。他の助成金等と併用する事が可能ですから対象となる可能性がある場合には検討が必要です。
年末調整での注意点
平成24年から、公共交通機関利用者以外の車等による通勤者について、非課税限度額が改定されています。
従来は片道15キロを超える通勤者については、原則10万円までは非課税とされていましたが、平成24年1月以降は一定の距離制限額を超える場合には超えた分が給与として課税されます。年末調整において念のため確認が必要です。
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