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確定申告後の注意点

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2012年4月】確定申告後の注意点

 昨年国税通則法が改定されました。書類などを税務署に「留置」する規定新設など、課税当局の権力強化の改定ですが、一部納税者権利の拡充規定も新設されています。確定申告書提出後に注意するべき事を説明します。

期限内は訂正申告が可能

 確定申告の期限内(所得税は3月15日、消費税は3月31日まで)であれば、誤った申告書の提出後であっても、正しい確定申告書を提出すると、訂正後の申告書が有効とされます。

「更正の請求」期間が5年以内に変更

 当初の確定申告書に記載した、納めた税額等が多すぎる場合、還付される税額が少なすぎる場合、繰越控除の金額が少なかった場合などに、更正の請求をして税額減額等を受ける期間が、申告期限から5年以内に改定されました。

平成22年分以前は「更正の申出」

 平成22年分以前の所得申告については、従来通り申告期限から1年以内ですが、申告期限から3年以内であれば、「更正の申出書」の提出が可能です。更正の請求期間1年を経過した場合、権利として更正の請求をする事ができなかったため「嘆願」扱いとなっていた事実上の取扱いを今回「更正の申出」という「制度」として受け付ける事としたものです。この「制度」は、税法等に何らの規定のない取扱いですが、事情に応じて還付等がなされる可能性があります。

修正申告する場合

 逆に、納めた税金が少なすぎる場合などには、「修正申告書」を税務署に提出します。
  修正申告書は期限なくいつでも提出できます。申告の誤りに正当な理由がない場合には過少申告加算税がかかります。修正申告書は一旦提出したら後から訂正はできません。今回税務署は修正申告の慫慂をする事が出来る事となりましたが、従来と何ら異なることなく少しでも疑問があれば、納得できるまで税務署と交渉する事です。また、原則として平成23年分以降の所得申告について、税務署が税額等を増額更正する期間が、申告期限後3年から5年に延長されました。

税務調査に備えて

 4月中頃から税務調査が始まります。脱税等取締以外の通常の調査は任意調査で、納税者の協力のもとにおこなわれるものです。また今回の改定で事前通知が法定化されましたから、事前通知のない不意討ち調査は断ることができます。また領収書等や帳簿等は原則として7年間保存が必要です。

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