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義援金と新寄付金控除税制

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2011年6月】義援金と新寄付金控除税制

 東日本大震災被災地には、全国から多額の義援金が寄せられています。個人がこの義援金を支出した場合、寄付金控除の適用を受け確定申告で税金の還付を受ける事ができます。加えて、平成23年4月公布の新しい税制では、寄附金控除の所得枠を80%に拡充した他、税額控除を新設、住民税ふるさと寄付金制度の適用を認めるなどの改定を行っています。

対象となる義援金とは

 税制の適用がある義援金は次の八種類です。
(1)国への直接寄付
(2)被災地の地方公共団体への直接寄付
(3)日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座への直接寄付
(4)中央共同募金会の「東日本大震災義援金」口座への寄付及び報道機関に対しての寄付で最終的に国や被災地地方公共団地に拠出されるもの
(5)共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」への寄付
(6)認定NPO法人に対する寄付で一定のもの
(7)公益社団法人、財団法人に対する寄付で一定のもの
(8)上記以外の寄付で税務署に確認を受けたもの

所得控除と税額控除

 上記義援金を寄付した場合には、確定申告で寄附金控除の適用を受ける事が可能です。寄附金控除は所得控除と呼ばれ、次の算式で計算した金額を個人の給与所得や事業所得から控除する制度です。
(災害関連寄付金-2,000円)
通常の寄附金は所得の40%以内とされていますが、災害関連寄付金は80%まで控除できる事とされました。

 更に、上記の(5)と(6)の義援金に対しては、税額控除制度を新設し、所得控除との選択適用を認める事となりました。
(特定震災指定寄附金-2,000円)×40%
  この税額控除は、年間の所得税の25%を限度とし、直接税額を減額する制度です。

住民税の税額控除も

 住民税には、「ふるさと寄附金」制度があり、地方公共団体に寄付した場合には、住民税の還付を受ける事が可能です。今回、国、日本赤十字などの一定の団体の災害専用口座に義援金を寄付した場合には、既述の所得控除などと併せて住民税の税額控除の適用を受ける事ができます。

 控除額は、次の(1)と(2)の合計額となっています。
(1)(ふるさと寄附金-5,000円)×10%(所得の30%限度)
(2)(ふるさと寄附金-5,000円)×一定割合(住民税の10%限度)

 いずれの控除も領収書や振込票などの書類を申告書に添付して還付を受けます。義援金を支出した場合には、確定申告時まで紛失しないように保管します。

【編註】奈良県保険医協会による「義援金」「救援募金」の税制上の取り扱いは次のようになります。▽被災会員支援のための「義援金」=「特別会費」となり医業経費とすることができます。領収書が必要な場合はお申し出ください。口座振替の通知書が届けられる金融機関の口座からの引き落としはそれで代用できます▽被災者支援のための「救援募金」=医療機関窓口等の募金箱で集められたものを受け付けておりますので、個々の会員の所得控除の対象にはなりません▽その他=保団連の救援募金送金先へ直接、送金された場合はいずれにも該当しません。(編集部)

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