現物給与の会計と税務
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2010年4月】現物給与の会計と税務
従業員に支給する給与については、診療所が所得税を源泉徴収して国に納付する義務があります。税務調査などで問題となるのが現物給与。今回は、現物給与の会計と税務を取り上げます。
片道の通勤距離 | 限度額(月額) |
---|---|
2km未満 | (全額課税) |
2km以上 10km未満 | 4,100円 |
10km以上 15km未満 | 6,500円 |
15km以上 25km未満 | 11,300円 |
25km以上 35km未満 | 16,100円 |
35km以上 45km未満 | 20,900円 |
45km以上 | 24,500円 |
通勤交通費
電車やバスなど交通機関のみ利用の場合には、良く知られているように月額10万円までの通勤手当の支給や現物としての定期券の交付は非課税とされ、源泉徴収の対象となりません。
これに対して自動車など交通用具利用の場合には、表のように距離に応じ非課税限度額が決められています。片道2キロ未満の場合には非課税枠はゼロであり通勤手当全額が課税扱いとなりますので注意が必要です。
自動車などの通勤で片道15キロ以上の場合は、電車など交通機関を利用した場合の定期代相当額まで(但し月額10万円まで)を支給したとしても非課税となります。言い換えると15キロ未満の場合に定期代相当の通勤手当を支給することはできません。例えば10キロ未満の場合4100円を超えて支給した通勤手当はその超える部分が課税となります。
資格取得の奨学金
看護師等の資格を取得するため学資として使用者が負担した奨学金は、特定の従業員のみを優遇するような場合を除き非課税とされています。通常は原則貸与扱いとし、資格取得した場合には返済免除とする場合も同様に非課税となります。
運転免許などを職務上日常的に必要とする場合の免許取得費用も同様に非課税となります。
旅費規程に基づく旅費
勤務する診療所等を離れて職務を遂行するための出張や旅行を行った場合に支給する旅費は、通常必要な金額の範囲であれば非課税となります。具体的には、勤務医に対して往診などの場合に支給する旅費が実費相当額以上であったとしても、旅費規程に基づき計算される金額が社会通念上妥当な金額である場合には非課税扱いとなります。但し、旅費は実費に代えて概算で支給するものです。実費の交通費を支給している場合に、実費とは別に支払う旅費は課税の対象となりますので注意が必要です。また実際に出張した事を明らかにする資料を保存しておきます。
社宅等の費用
社宅等を借り上げ、従業員に貸与している場合には、賃料の半額を従業員から徴収します。使用者が負担した残りの賃料については原則として非課税となります。但し、この規定はあくまで使用者名義で賃借する場合です。従業員が契約した住居の家賃を負担した場合は課税となりますので要注意です。
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