奈良県保険医協会

メニュー

年末調整と従業員給与の取扱

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2008年12月】年末調整と従業員給与の取扱

 恒例の年末調整を迎える時期となりました。今回は、本年の年末調整の留意点と従業員等の給与の取扱について解説します。

課税されない給与

 一般的に、課税されない給与と聞いて、すぐに頭に浮かぶのは通勤手当だと思います。しかし、これ以外にも次のような非課税給与があります。

 出張手当は、従業員が本来の勤務地である診療所を離れて往診等をした場合に出張旅費規定を作成しその規定に基づき支給される手当です。社会通念上妥当な金額である事を要しますが、交通費等の実費とは別に支給されるものですから、新たに導入を検討されるのも良いかもしれません。

 技術知識の習得費用は、業務に直接必要な技能、資格、免許、講習等を取得するための費用で、これは特定の親族等を対象とするものでなければ全額が非課税となります。

 食事手当は、月額で従業員が食事代の半額以上を負担していて同時に事業所負担金額が月額3500円以下である場合には非課税となります。従って月額最高7000円の食事代の半額『未満』事業所負担が可能です。また、残業や宿日直の場合の食事代は全額が非課税とされています。他にも、寮等の家賃補助、永年勤続者等の表彰など非課税給与の取扱がある事となっています。

年末調整の留意点

 1年の間に複数の事業者から同時に給与を受給している場合、扶養控除申告書を提出している1箇所目の事業所の給与のみ年末調整が可能です。他の給与は翌年3月15日確定申告で合算して申告することになります。

 また、年の途中で就職され、本年度中に前職の給与がある場合には、前職の源泉徴収票が必要となります。

 専従者給与については、実際の支払がなければ当然年末調整の対象とならず、何よりも必要経費となりません。若し未払専従者給与があれば必ず年内に支払いを済ませる必要があります。

給与支払報告書の提出義務

 年末調整は、国税である所得税の精算手続きで、これは毎月の給与から先払をした所得税の精算です。他方、住民税は常に後払いとなるため、年間の給与金額等を市区町村に通知する義務が事業所に課せられています。いわば、従業員の住民税の確定申告のようなものです。意外に軽く捉えて従業員任せにしている診療所もあるようですが、あくまで義務者は給与の支払者である事業者にあります。違反した場合には20万以下の罰金等が課せられることもありますので原則どおり提出されることをお勧めします。

経営に役立てる医院の会計と税務

さらに過去の記事を表示