変わるリース会計と税務
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2008年6月】変わるリース会計と税務
このたびリース会計と税務が大きく改定されました。医療用機器等を含めリースを利用している医院ではその内容を理解することが求められます。今回はその経理処理のポイントと影響を解説します。
買い取りと同様の会計処理
従来、リースにより機器等を賃借した場合、特殊なリースでない限り、支払ったリース料はその支払ったときに必要経費となりました。例えば、月額3万円60回払いの場合にはその月々の3万円がその都度経費となったわけです。
しかし、平成20年4月1日以降に契約したリースの場合、毎月のリース料は必要経費とならず、その支払総額を税法上の耐用年数の月数で均等に経費としていきます。つまりその資産を買い取ったのとほぼ同様の減価償却費処理をすることとなります。
消費税は早期控除が可能に
購入と同様の会計処理となるため、その購入時点で消費税を支払ったものとして購入代金全額分の消費税の税額控除を受けることができます。つまりまだ月々のリース料の全額を支払っていない時点であってもリース料代金総額分の消費税の控除が可能となります。
このため自費割合の多い診療所など開業初年度で設備が多額となり消費税還付を受けたい場合などはリース契約であっても買取と同様に消費税の還付が受けられることになります。
所得税ではメリットが半減
従来の賃貸経理の場合、税法上の耐用年数の70%程度の短いリース期間の契約をしても税法上容認されるため、早期に費用処理できるメリットがありました。更に、リース料を1年分前払いしても必要経費とできるため決算対策としても利用されていました。
今後は、リース契約期間の長さに関係なく法定耐用年数での償却が原則となります。
個人や中小企業者には特例
以上のようにリース取引は、原則として売買処理を求められますが、個人や中小企業では従来通りの賃貸経理が認められます。即ち会計処理については特に従来との変更は必要がないことになります。ところが、消費税に限っては従来通り賃貸経理を行った場合でも、買い取りを行った場合と同様に消費税の早期控除の適用を受けることが認められるのです。ただ、控除を受けるためには帳簿等に一定の事項を記載する必要が生じますので注意が必要です。また、毎月のリース料について重ねて消費税上の控除を受ける事はできません。平成20年3月末までに契約したリースは、消費税の早期控除の対象外となりますので念のためご留意下さい。
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