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還付申告の税務と会計

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2008年4月】還付申告の税務と会計

 確定申告も終了し、新しい年度を迎える時期となりました。今回は、確定申告を再点検し、納めすぎの税金がある場合の還付制度を解説します。

還付漏れはないか

 何度も点検し確認して作成した確定申告ですが、念のため次の点に注意してみます。①学校医などの給与収入合計が年間65万円以下の場合、申告不要としていませんか。申告により源泉徴収された税額が還付される可能性があります。②妻や生計を一にする親族の医療費が10万円以下だから還付されないと錯覚していませんか。家族全体の医療費が10万円を超えていれば、全額院長負担として医療費控除を適用できる場合があります。③少額の配当を申告不要としていませんか。配当控除や源泉徴収された税額の還付があります。④扶養親族等に寝たきり状態の者がいる場合、特別障害者に該当し障害者控除40万円に加え同居の場合には扶養控除の35万円の増額が適用されます。⑤年の途中で死亡等した扶養親族は、死亡時点で扶養控除の適用があれば年末においても扶養親族に該当します。⑥退職や死亡により親族の年間所得が35万以下であった場合に扶養控除のとり忘れがありませんか。

還付申告と更正の請求

 以上のような還付漏れがあった場合の還付手続きですが、確定申告をした者と年末調整だけで申告をしていない者ではその方法と期限が異なります。

 確定申告書を提出した場合には、「更正の請求」という手続きをすることになりますが、その期限は申告期限から1年以内となっています。平成20年分について平成21年3月15日まで還付が可能です。

 確定申告をしていない場合には、「還付申告」手続きとなり、原則として確定申告期限から5年以内であれば還付が可能です。即ち平成15年分であれば現在まだ還付が可能であるという事です。

職権による減額更正

 更正の請求期限は、1年と短く諸外国の同制度と比較しても納税者に不利となっており是非とも改正が必要です。

 反面税務署が職権で更正する事ができる期間は5年となっています。言い換えれば、税務署が納得すれば還付される場合も有りうるという事になります。また調査があった場合には還付されるか新たに追徴される税額と相殺される可能性は高くなることも記憶しておくと有利です。

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