固定資産税の税務
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2007年8月】固定資産税の税務
団塊世代の大量退職もあり住民税減収等で地方財政が悪化する中、従来は稀であった地方税の調査が実施されるようになっています。
今回は、忘れがちな固定資産税について解説します。
償却資産税とは
土地建物について固定資産税が課税される事は知られています。しかし土地建物以外の償却資産についても、固定資産税が課税されるのです。これは償却資産に対して課税される事から償却資産税とも呼ばれる市町村民税です。税率はその資産のその年の減価償却後の価額の1.4%となっています。毎年1月1日現在において所有する減価償却資産に対してその所有者に課税されます。
償却資産の所有者は、毎年1月31日までに所有する資産の内容を市区町村宛申告する義務があります。
広い課税対象
課税される対象は次のようになっています。
一、構築物(門、塀、舗装路面、外溝設備、看板など)及び建物付属設備
二、工具器具及び備品(医療機器、レントゲン装置、手術機器、歯科診療ユニット、ファイバースコープ等)
但し、次の財産については課税されない事になっています。
一、自動車税の対象となる車両など
二、取得価額10万円未満の消耗品
三、取得価額20万円未満の消耗品で一括償却制度を適用しているもの
また診療所の全ての償却資産の課税標準額の合計金額が150万円未満である場合には免税点以下となりますから償却資産税は課税されない事になっています。
また、所得税法の特例対象としている30万円未満の消耗品等についても課税の対象となります。
建物付属設備に注意
注意すべきは、建物付属設備が課税対象となる点です。診療所の内装、水道設備、電気ガス給排水設備、空調設備といった設備は建物に含まれると錯覚して別途償却資産税の申告を失念する場合が多いです。更にテナントとして賃借している建物に対して支出した場合でも課税の対象となる点も忘れがちです。これらの建物付属設備は金額も比較的高額となり、減価償却により価値が減少していく期間も長いため後日大きな問題となります。例えば建物付属設備に1,000万円の支出をした場合、年間14万円となり以後3年間で約40万円弱の追徴税額となります。
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