ゴルフ会員権の会計と税務
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2007年5月】ゴルフ会員権の会計と税務
ゴルフ会員権を譲渡した場合、通常では譲渡損が発生します。また日常のプレイ費の扱いは医業の損益の計算上どうなるかという疑問が寄せられます。今回は、これらの会計税務を解説します。
ゴルフ会員権の譲渡損は損益通算が可能
ゴルフ会員権を譲渡した場合のその所得は、現在の税法上では譲渡所得に該当します。譲渡所得は、譲渡価額から取得価額(権利金と預託金の合計額)や譲渡費用(名義書換料など)を差引いて計算します。譲渡価額が、取得価額や譲渡費用に満たない場合には譲渡損が生じます。この譲渡損の全額は医業や他の通常の所得と相殺(損益通算)する事が可能です。従って、医業や他の所得に課税される所得税住民税を節税する事が可能です。
但し会員権業者等を通じて売買する事、知人等との直接の相対取引は避ける事が重要です。
譲渡益に対する特別の課税
ゴルフ会員権の譲渡により利益が生じた場合には、会員権の所有期間が五年を超える場合には長期譲渡所得となり、50万円の特別控除をした後の残額に2分の1を乗じて計算した金額に課税される事になっています。また所有期間が5年以内の場合には短期譲渡所得となり、医業などの通常の所得と総合されて課税されます。
税軽減のない倒産ゴルフ場会員権
上記のようにゴルフ会員権はそのゴルフ場がプレイ可能であればプレイ権の譲渡となり、その譲渡損については損益通算が可能です。しかし、倒産し既にプレイができない会員権については、仮に譲渡ができたとしても、損益通算の対象にはならず、節税の効果は一切ない事になります。
また、ゴルフ場の経営状態が悪化して、預託金の返還免除や切捨が行われた場合、その切捨された預託金部分は取得価額にならず、譲渡所得計算上経費とならないのです。
更に会員権の分割や永久債化など特別の場合には税の専門家に相談する事が肝要です。
交際費となるプレー費
ゴルフ場でのプレー費や飲食代で、医師や医業関係者との交際や情報収集に必要な費用は交際費に該当します。但し、税務署は税務調査に際してその必要性を否認する場合がある事を想定して、メンバーや目的、必要性などを記録して残す事が重要と言えます。
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