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損害保険の税務

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2007年4月】損害保険の税務

 平成18年末をもって火災保険等に適用された損害保険料控除の制度が廃止となり、代わって地震保険料控除の制度が新設されています。自宅や診療所の非常時の備えは日ごろから心がけておく必要があるものです。今回は、地震保険とともに、損害保険の税務を解説します。

廃止された損害保険料控除

 火災保険や傷害保険といった損害保険契約に基づく損害保険料については、従来契約期間の長短に応じて長期損害保険の場合には最高15,000円(住民税は10,000円)、掛け捨ての短期損害保険の場合には3,000円(住民税は2,000円)の損害保険料控除が適用されていました。この損害保険料控除は、平成18年末をもって廃止されています。従って、今後個人の自宅に関する損害保険料は税務上控除されなくなります。但し、生命保険料控除の対象となっていた医療保険や所得保障保険等については、従来通り生命保険料控除の対象となります。

地震保険の新設

 新設される地震保険は、原則として、居住用の建物や家財を保険目的とするものです。支払った地震保険料の内50,000円(住民税は25,000円)までの全額が控除対象となります。但し、地震保険料は単独で契約する事ができず、火災保険に付加する契約のため、地震保険料部分のみが控除対象となります。また、地震保険は火災保険の半額を限度として補償されますが、保険会社によっては、一般の地震保険では補償されない残りの半額を補償する制度も新設されているようです。

長期保険の経過措置

 平成19年分からは、上記の通り従来の損害保険料は控除対象となりません。しかし平成18年末までに保険期間が10年以上で満期返戻金のある長期損害保険に加入している場合ついては、経過措置が設けられています。この経過措置は、長期損害保険については、原則として従来通りの損害保険料控除を認めるもので、住民税についても同様の経過措置が設けられています。

診療所に対する取扱い

 診療所建物や医療機器財等に対する火災保険等については、従来通り必要経費算入が可能となっています。診療所と自宅併用の建物の場合には、店舗総合保険等により自動的に地震保険に加入する制度があるため、契約内容により診療所部分の必要経費算入が可能な場合もあります。

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