確定申告と住民税
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2007年3月】確定申告と住民税
平成18年分の確定申告が終わり、所得税確定申告書の所得により住民税が計算され、その賦課通知が行われる時期を迎えます。今回は、大きく改定される平成19年分住民税と連動して改定される所得税率の影響について解説します。
住民税の大幅改定
住民税は、改定前には所得の金額に応じて、5%・10%・13%の累進税率を採用して計算されていましたが、今回の改定により所得の多寡にかかわらず一律10%で計算される事とされました。
これは、小泉政権時代に、地方分権の推進の名の下に税源移譲を行うとして、国税である所得税の一部を減少させ、反面住民税を増加させる決議がなされた事によるものです。
所得税率も改定
住民税の改定に連動して、所得税の税率も改定されます。表一のように所得税住民税の合計の税率は、改定前と変動しないようにされていますので、国税地方税総額での税負担額は改定後も基本的に同額となります。
改定の影響を所得金額別に試算すると表二のようになります。おおむね課税所得金額が900万円の所得より以下の場合には所得税が減少し、住民税が増加します。しかし、課税所得が900万を超える場合には逆に所得税が増加し住民税が減少するという逆転現象が生じる事になります。これは、改定前には13%の住民税率が課税されていた所得者について、改定後は10%の住民税率となるためです。
平成19年分は所得税が増加
住民税は前年度の所得により当年度の税額が決定します。平成19年度5月以降に納付する住民税は、19年3月に確定申告した平成18年分所得により計算されます。平成19年分個人以降の医業の住民税については改定後の一律10%の税率が適用される事になります。
他方、所得税は、平成19年分即ち平成20年3月に確定申告する所得から改定されますから、住民税に比較して改定が遅れる事になります。
従って殆どの医業所得者の場合平成20年3月の所得税は、前年と同じ所得金額であってもむしろ増加する点に留意が必要です。
表1 所得別税率改定表
課税所得金額 | (改定前)税率 | (改定後)税率 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
所得税 | 住民税 | 合計 | 所得税 | 住民税 | 合計 | |
~195万円 | 10% | 5% | 15% | 5% | 10% | 15% |
195万円~330万円 | 10% | 10% | 20% | 10% | 10% | 20% |
330万円~695万円 | 20% | 10% | 30% | 20% | 10% | 30% |
695万円~900万円 | 20% | 13% | 33% | 23% | 10% | 33% |
900万円~1800万円 | 30% | 13% | 43% | 33% | 10% | 43% |
1800万円 ~ | 37% | 13% | 50% | 40% | 10% | 50% |
表2 所得金額別税額試算
金額 | (改正前)税額 | (改正後)税額 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
所得税 | 住民税 | 合計 | 所得税 | 住民税 | 合計 | |
195万円 | 195,000 | 100,000 | 295,000 | 97,500 | 200,000 | 297,500 |
330万円 | 330,000 | 235,000 | 565,000 | 232,500 | 335,000 | 567,500 |
695万円 | 1,060,000 | 600,000 | 1,660,000 | 962,500 | 700,000 | 1,662,500 |
900万円 | 1,470,000 | 866,500 | 2,336,500 | 1,434,000 | 905,000 | 2,339,000 |
1800万円 | 4,170,000 | 2,030,000 | 6,200,000 | 4,404,000 | 1,800,000 | 6,204,000 |
2500万円 | 6,760,000 | 2,946,500 | 9,706,500 | 7,204,000 | 2,505,000 | 9,709,000 |
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