税務調査(2)
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2007年2月】税務調査(2)
前回の概況調査の解説から、今回は実地調査、更には調査後の対応などを解説します。
実地調査に臨んで
実地調査では、収入関係の帳票として帳簿(総勘定元帳や現金出納帳など)、患者に発行した領収書の控え、未収管理台帳など、経費関係の帳票として預金通帳、医薬材料費や外注費などの請求書領収書、その他一般経費の領収書等が調査の対象となります。
パソコンで経理している場合や、経理関係の文書をパソコンで保存している場合などは、必ず印字した書類を見せるようにします。
尚、カルテは、医師法により守秘義務が定められているため税務職員であっても見せる必要がないものです。
反面調査には毅然と対応
診療所での実地調査の他に、銀行や診療所の取引先に税務職員が出かけて資料や情報を収集する場合があります。
こうした調査を反面調査と呼びますが、これは実地調査でも明らかとならない疑問がある場合等の限られた条件でのみ許される調査です。税務署の「税務運営方針」でも「反面調査は客観的にみて止むを得ないと認められる場合に限って行うこととする」と記載されています。
納税者を動揺させる事を目的としたような無意味な反面調査には断固として抗議する事が必要です。
修正申告の重み
調査の過程で、もし誤りや法律等の解釈の違いによる過少申告が問題となった場合、税務署は修正申告書の提出を促します。修正申告書は、あくまで納税者自らがその非を認め、自主的に不足税額を支払う事を確定させる文書です。また修正申告書を提出した後に納税者がその修正申告書を訂正したり撤回したりする事は一切できない事になっています。
もし納税者が修正申告を拒んだ場合には、税務署が「更正」という手続きによって強制的に税額を増額する事ができることになっています。しかし、更正手続きをする税務署は、その立証をする必要があり、容易に更正ができるものではありません。
要は、税務署の主張について納得できない場合には安易な修正申告をしない事です。
延滞税と加算税
調査の結果追加して税額を支払う場合、所得税や住民税等の本来の税額以外に、本来の納期限より納税が遅れたことによる延滞税と罰金相当の加算税が課税されます。延滞税や加算税は、修正申告の後、税務署から納付書が郵送され支払う事になります。
税務署は、故意等による誤りであったとして高税率の重加算税を課税しようとします。調査後にも加算税等が課税される事に留意し、調査終了時点までに加算税の種類等についても税務職員と合意する事が必要です。
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