平成18年度税制改正を解説
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2006年7月】平成18年度税制改正を解説
例年の如く今年も税制改正法案が成立し、個人診療所の経営に直結する増減税が実施されました。
30万までの少額資産に年間300万の限度額設定
青色申告者の場合、改正前には1個当たり30万円未満の少額減価償却資産(以下「少額資産」)は、その全額が必要経費とされていました。今回の改正により、平成18年4月1日以降に取得する少額資産について年間限度額が設けられ、上限は年間300万円までとされます。即ち、平成18年4月から12月までに取得した少額資産の内、納税者が選択した資産については、合計額が300万円までが必要経費となる趣旨です。
尚、平成18年3月31日までに取得した少額資産については、旧法が適用されますから、その全額が上限なく必要経費とされます。
パソコン減税廃止とその代替税制、情報基盤税制の新設
青色申告者についてパソコン、コピーなどの情報通信機器に関する減税が廃止されました。
但し、デジタル複合機(ファックス兼用複写機等)やパソコン(レセコン)については、1台の取得価額が120万円(リースの場合には160万円)を超える場合には、原則として取得価額の7%が税額から控除される制度が設けられています。
また、サーバー用OS、データベース管理ソフト等の購入やリース取得について、情報基盤強化減税が新設されました。但し、これらの金額が300万以上である事など、個人診療所には適用が困難な制度です。
定率減税の完全廃止
所得税の20%(別途住民税15%)で最高25万円(住民税は最高4万円)を限度とする定率減税が廃止されます。まず平成18年分については、上記の半額の減税となり、平成19年分で全廃されます。即ち、所得税住民税合わせて平成19年3月の申告時期には最高14万5000円が増税となり、更に平成20年3月にも14万5000円の合計29万の増税となるわけです。
所得税住民税の税率変更
小泉内閣で進められている地方への税源移譲いわゆる三位一体改革により所得税と住民税の税率が変更されます。平成19年分(平成20年確定申告)より、住民税の税率が従来の段階税率から一律10%の均一税率に変更されます。これに伴い所得税の税率構造も変化しますが、所得税住民税合計では税額総額は現状と変わりません。
概ね課税所得1500万円以下の所得層では住民税割合が増加し、逆にそれ以上の層では所得税割合が増加する構造となります。
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