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「人材投資促進税制」続報を解説

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2005年5月】「人材投資促進税制」続報を解説

 今年度に新設された「人材投資促進税制」について、先ほど教育訓練費の具体的内容が明らかになりました。今回は、前回に続き教育訓練費の内容を紹介するとともに、有利な活用方法を考えます。

四種類の教育訓練費

(1) 教育訓練を自ら行う場合
 診療所が、他の者に教育訓練を委託するのでなく、自ら実施する上に必要な費用です。
 注意すべきは、院長自らが講師となって実施する場合に院長に支払う講師料は対象外となる点です。あくまで外部の講師等の費用である事が必要です。但し、法人の場合には子会社等が実施する教育訓練は対象となります。
○講師等に支払う謝金等、及び旅費等
○教育訓練の計画の立案等について第三者への委託費用等
○会場その他の施設や設備コンテンツなどの賃借料等

(2) 教育訓練を委託する場合
 教育訓練を他の者に委託して実施する場合の費用です。

(3) 他の者が行う教育訓練に参加させる場合
 他の者が行う教育訓練の授業料、受講料、受験手数料等の費用が対象となります。
 これは、使用人を外部の研修セミナーや研修講座、講習会、技術指導、検定試験等に参加させるための費用です。
 資格や免許取得のための費用、検定料等も対象となります。

(4) 教科書等の教材の購入費等
 消費税込みで十万円未満の少額な減価償却資産や通常の教科書等の教材費用です。
 この教育訓練用教材等については、院長が診療所で使用者を対象に実施する場合にも対象となるとされます。しかし、使用者が自己学習するための教材の費用は対象外となる点は注意が必要です。

職務に必要な技術等とは

 このように今回の人材投資促進税制は、あくまで外部に支出する費用が対象であり、使用人等に支給した給与や研修会場までの交通費などは対象外とされます。

 また、教育訓練なら何でも良いのでなく、あくまで職務に必要な技術や知識の習得、向上費用である事が大前提となっています。  更に対象は使用者であり、院長や一定の親族等が研修参加する場合の費用は対象外となります。

 このようにこの税制の活用のポイントは、人材を「育てる」観点を求められるという点です。人材格差が診療所の格差となる時代にスタッフのスキルアップに活用してはいかがでしょうか。

経営に役立てる医院の会計と税務

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