17年度新税制「人材投資促進税制」とは
税理士 西村 博史
ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
【2005年4月】17年度新税制「人材投資促進税制」とは
平成17年度税制改正の中最も注目されるのが教育訓練費総額について税額控除される「人材投資促進税制」と呼ばれる制度です。今回は、この制度に焦点をあてて解説します。
教育訓練費の支出が控除の対象
従業員の技術や知識、資格の取得について、時間的又は金銭的補助をする医院も多いのが現状です。
今回の税制は、このような「使用人の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用」を対象として、その一定割合を税額から控除する制度です。
この制度の特徴は、これらの教育訓練費を経費算入した上更に税額から一定の金額を直接控除するものですから、大変有利な制度であるという点です。
但しこの制度は、青色申告者である法人(医療法人)と個人診療所の双方に適用されることとされています。白色申告者の場合には適用がないので注意します。
教育訓練費とは
この制度の対象となる教育訓練費の内容については、「研修委託費、研修参加費、社外講師謝金、外部施設使用料、教材費等」とされ、その具体的範囲については相当広範囲の費用が対象となる予定ですが、詳細は追って公表される事となっています。
最高で費用の2割が税額控除
この制度により控除される金額は、今年度の教育訓練費が、直前2年間の教育訓練費の平均額に比較してどの程度増加したか(教育訓練費増加割合)により次の算式で計算されます。
(1) 増加割合が4割以上の場合
その年度の教育訓練費の「総額」の2割相当額
(2) 増加割合が4割未満の場合
その年度の教育訓練費×「教育訓練費増加割合×50%」に相当する金額
このように前2年間の平均額との比較により控除される税額が変動しますから、計画的な人材投資がポイントとなります。
仮に増加割合が4割以上でその年に100万円の支出をした場合20万円の税額が控除され、更にその支出が必要経費とされることになります。最高税率50%が適用される個人診療所の場合には、およそ支出の7割以上に相当する税額が節税される結果になります。
尚、この控除はその年分の税額の1割が限度とされ、また一定の大法人については別の計算により控除することになっています。また3年間の時限立法である点に注意します。
個人は平成18年から
この制度は、個人については平成18年分所得税から、法人については平成17年4月1日以後開始する事業年度から適用される事となります。
このように節税効果の大きい税制ですが、本来の目的である医業の理念に照らした人材の育成に大いに役立てたいものです。
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