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厚生年金は必ず加入しなければならないのか

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

厚生年金は必ず加入しなければならないのか
【2020年2月】


 従業員が5人になったということで年金事務所から社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するようにとの通知が来ました。友人の個人開業医の診療所でも、社会保険に加入していないところが結構あります。どうしても、加入しなければならないのでしょうか。


 事業所の規模によります。個人事業所の場合、従業員5人以上の事業所は強制加入となっています。


 昔から従業員5人以上でも社会保険に加入していない事業所も結構あるのではないですか。


 確かに、本来強制保険であっても、残念ながら加入していないところが、まだまだ存在します。


 社会保険料の高さに驚きました。


 そうですね。健康保険料は都道府県によって違いますが収入の約10%、厚生年金が18.3%です。これを労使折半で負担しますから経営者にとってはかなり負担になります。給料を変更しなければ約14%の人件費アップです。


 加入しないと罰則がありますか。


 一応、法的には罰則がありますが、実際罰則を受けた事業所はほとんどありません。それでも近年行政指導が強まり、何回も加入勧奨したのに応じない事業所に対し、これまでは加入した時から社会保険料を負担すれば良かったのですが、2年さかのぼって社会保険に加入させられる事例も発生しています。それに最近では年金についての理解が深まり、国民年金だけより厚生年金の方が安心と考える従業員が増えました。実際に歯科衛生士の資格者が応募して、社会保険がないと知ると入社を辞退された診療所もあります。優秀な人材に、長期に働いてもらいたいのであれば、社会保険に加入することをお勧めします。


 公的年金はつぶれることはありませんか。


 老後2000万円足りなくなるというニュースなど、公的年金の不安をあおる情報も広がっていますが、年金をつぶすような政権は国民が許さないと思います。政府も年金制度がつぶれる時は、国そのものがつぶれる時とまで言っています。そればかりか、旧ソ連は崩壊しましたが、国がつぶれてもロシアのお年寄りは今でもちゃんと年金を受給しています。ところで先生のところで加入しているのは市町村運営の国保ではなく、組合運営の国民健康保険ですか。


 そうです。私のところは歯科医師国保組合です。


 そうすると、政府管掌健康保険は加入せずに厚生年金のみの加入もできます。「健康保険適用除外」という制度です。こうすれば厚生年金のみの負担で済みます。もしも厚生年金加入を検討される場合は、手続きの方法は都道府県によって違うこともありますから、早めに国保組合、年金事務所に相談してください。

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