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男性職員が育休を取りたいと言ってきた【2021年11月】

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

男性職員が育休を取りたいと言ってきた【2021年11月】


 男性職員が育児休業を取りたいと言ってきました。当院みたいに従業員20人にも満たない医療機関では女性ですら育休を取るとしわ寄せがきて大変なのに、とんでもないと断りました。男性に育休を取得させるのは、事業所に強制されているのでしょうか。


 強制というより、労働者が育休を請求したことにより不利益に取り扱うことができないことになっています(雇用機会均等法)。この労働者は男女を問いませんから、請求されたら断ることができません。その男性は何日くらい育休を取りたいと言ってきているのですか。


 当初は2週間くらいと言っていましたが、今は最低10日は取りたいと言っています。


 いずれにしろ断ることはできません。むしろ職場の風土・イメージを変えるために積極的に与えることを考えた方がいいと思います。


 癖になりませんか。甘やかすとどんどん要求がエスカレートするのではないでしょうか。


 働きやすい職場をつくるため、そんなことを言っている状況ではありません。先進的企業では、半ば強制的に男性に育休を取らせているところもあります。
 男性の育休取得率は長年数%と低迷していましたが、2020年では男性は初めて1割を超え12.65%になりました。前年が7.48%だけに、かなりの伸び率です。


 行政指導を強めたのでしょうか。


 いいえ、むしろ「子育てパパ支援助成金」の影響だと思います。


 どんな制度ですか。


 男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土づくりに取り組み、男性労働者が育児休業を取得した場合、事業主に支給されます。


 どのくらい育休を取ると支給されるのですか。


 中小企業の場合、子供の出生後8週間以内に5日以上育休を取ると支給されます。


 たった5日で支給されるのですか。


 そうです。そのうち1日は休日でもいいのです。つまり労働日に休ませるのは4日でもいいのです。


 それで、いくら支給されるのですか。


 1人目は57万円です。


 うちも対象になりますね。


 そうです。それに連続ではなく飛び飛びに休暇を取る「育児目的休暇」に対しても助成金が支給されます。この助成金は就業規則の改正などが必要ですから、早めに都道府県の雇用環境均等室に相談するといいでしょう。
 男性が育児休業制度を利用することに対する嫌がらせをパタニティー・ハラスメント(パタハラ)と言います。公になって大問題に発展したのが、大手化学メーカー「カネカ」の事件です。首都圏に住む社員が育休明け2日で関西に転勤を命じられ、0歳と2歳の子供がいるので1~2カ月の猶予期間が欲しいと言ったのに認められず、この男性は退職しました。この事件が妻のSNSへの投稿をきっかけにネットで大炎上し、カネカの株式総額624億円が消失したと言われています。今や男性の育休取得は時代の流れです。
 私も含めて性別役割分担論から脱却する必要があります。

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