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コロナ禍で職員を休業させる際の休業補償と公的支援

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

コロナ禍で職員を休業させる際の休業補償と公的支援
【2020年6月】


 新型コロナの影響で患者が激減している上、「3密」を避けるために職員の出勤日数を抑えています。このように「不可抗力」ともいえる状態で職員を休業させる場合、法的には賃金補償をしなければいけないのでしょうか。


 休業手当を支払う必要がある「不可抗力」とは、次の条件に該当するときです。①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることとされています。


 今回のコロナ災害はまさにその条件に該当するのではないですか。だから「緊急事態宣言」も出たのではないですか。


 政府は休業手当を支給しなくていいほどの事態とは言っていません。従って、労働者を休業させれば労基法に基づく休業手当の支払い義務が発生します。


 職員を休ませた場合、公的支援はないのですか。


 が、「雇用調整助成金」があります。また、厚生労働省のホームページから「ガイドブック」とその簡易版をダウンロードできますが、正確を期して書いてあるので分かりにくい箇所もあります。


 中小企業の場合支給した休業手当の80%とか90%支給されるのではないのですか。


 助成率10分の8、10分の9というのは、休業手当の80%や90%を意味するわけではありません。助成金で大切なことは①その助成金が支給されるかどうか②支給されるとしたら支給額はいくらかということです。まず支給される第一の条件は申請月の前月の売り上げが前年同月比で5%以上低下していることです。次にいくら支給されるかということですが、ポイントは実際に職員に休業補償した金額と雇用調整助成金として事業所に支給される金額は連動していないということです。
 事業所の前年の労働保険の雇用保険料の算出のもとになった賃金総額を月当たりの平均人数と所定労働日数で割ると1人1日当たりの平均賃金額が算出されます。この日額から支給額を算出し日額8330円を限度に支給されます。例えば職員30人として、昨年の雇用保険料の基礎となる賃金総額9000万円で所定労働日数年間260日の事業所の給付額を計算しましょう。

9000万円÷260日÷30人≒1万1539円
1万1539円×90%≒1万0385円(基準賃金額という)
解雇などがない場合の中小企業の助成率10分の9(解雇などがある場合10分の8)なので、これをかけると
1万0385円×9/10=9347>8330円
一人当たり最高額の8330円。30人を10日間休業させれば8330円×10日×30人=助成金支給額249万9000円となります。

 5月20日からはオンライン申請ができるようになり、計画届が省略されました。1月24日から5月31日までの休業についての申請期限が8月31日までとなっています。今回は遡って手続きができるようになっています。

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