妻が仕事中に大けが。労災保険の適用にはなるのか
雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩
「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。
妻が仕事中に大けが。労災保険の適用にはなるのか
【2019年6月】
Q
当院で事務長をしている私の妻が診療所の階段で転んで大けがをしました。業務災害なので労災保険を使いました。労働基準監督署から賃金台帳、出勤簿を持ってくるように言われました。何を調べるのでしょうか。
A
労災事故の場合、労基署が一番チェックするのは事故の原因よりも被災した方が労働者かどうかです。奥さんは同居ですか。
Q
はい同居です。
A
一般的には同居の親族は労働者として扱われませんから労災保険は適用されません。ただし、同居の親族でも他の労働者と同じように管理されて働いていれば労働者として扱われることがあります。今回の労働基準監督署の調査はこの点をチェックするのです。
Q
私の妻は他の従業員よりもよほど働いていますよ。
A
一般的には医院長の奥さんは共同経営者と見なされます。労働者と見られるためには出勤簿などで労働者と同じように管理されていなければ労働者と見なされません。
Q
妻は出勤簿など付けていません。
A
そうすると労働者と見なされない可能性が高いです。
Q
しかし、いざというときの備えがないのは心配です。
A
医院長や配偶者は一般的には労災が適用されないので、私は労災保険の特別加入をすることを勧めています。
Q
労災保険の特別加入とは何ですか。
A
事業主や家族は労働者ではないので労災保険は適用されませんが、労働保険事務組合に事務委託すると、事業主や家族従事者も労災保険に特別に加入することができます。また、他のメリットとしては、事務の省力化、保険料額にかかわらず3回の分割納付が可能になることなどが挙げられます。
Q
労働保険事務組合とは何ですか。
A
一定規模の事業所(医療機関は労働者300人以下)を対象に、事業主の委託を受けて事業主が行うべき労働保険の事務を処理することについて厚生労働大臣の認可を受けた団体です。中小零細企業では労働保険に加入していないところもまだまだ多く、労働保険加入を促進することも重要な役割です。
Q
労働保険事務組合に加入するにはどうすればいいのですか。
A
商工会議所などの団体でつくっていますから、そうしたところに相談すればいいでしょう。私のような社会保険労務士でも事務組合をつくっている例もありますし、保険医協会でもつくっているところがあります。
従業員がいるのに労働保険に加入していない診療所が残念ながらまだあります。このような事業所の解消と事業主と家族従事者の生活を守るためにも、労働保険事務組合が必要ではないかと思います。
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- 2008年10月1日就業規則を厳しくすることはできるか
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- 2007年11月1日失業給付を受けられる条件が12カ月へ延長
- 2007年10月1日失業給付は退職理由によって条件が違う
- 2007年9月1日医療機関も例外でない労働基準監督署の調査
- 2007年8月1日宙に浮いた年金・消えた年金の対策は… 意外に多い医師の無年金者
- 2007年7月1日個人診療所の厚生年金加入手続きは
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- 2007年5月1日ドクターも雇用保険に入れるのか
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- 2007年1月1日能力が低く勤務態度の悪い職員の解雇
- 2006年12月1日管理職には残業代を支払わなくていいか
- 2006年11月1日採用のとき病歴について聞けるか
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- 2006年7月1日中小企業子育て支援助成金 育児休業を取らせると助成金100万円
- 2006年6月1日労災保険未加入のペナルティー強化
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- 2006年4月1日引き継ぎもしないで突然退職する職員への対処は
- 2006年3月1日1カ月単位の変形労働時間制
- 2006年2月1日労働基準監督署調査及び労働基準監督署の是正勧告への対応
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