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契約更新を繰り返してきた期間職員の無期転換への対応

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

契約更新を繰り返してきた期間職員の無期転換への対応
【2018年3月】


 6ヵ月契約で更新を3回ほど繰り返してきた職員がいますが、ミスが多いので更新をしないと伝えたところ「なぜですか」と聞いてきました。わかままでまわりのスタッフからも嫌われています。


 なぜ3回も更新してきたのですか。


 大人ですからそのうち自分で気付き、同じミスを犯さなくなるだろうと期待していたからです。口頭で何度も注意はしてきました。


 以前ご紹介した「業務改善指導書」(曽我社会保険労務士事務所のウェブサイトからダウンロード可能。アドレスは http://www.sogaoffice.jp/)などの書面を交付はしましたか。


 書面は交付していません。 6ヵ月契約を更新したのですから期間が来たらそれで雇用契約終了ということではないのですか。


 そのような主張も当然できます。雇用契約を終了することを「雇止め」と言います。トラブルになったとき雇止めが有効となるためには再三注意・指導し態度改善のチャンスを与えたのに改善されなかったことを立証する必要があります。今回は一方的に通告するのではなく、よく説明し、できるだけ納得していただくように努力してください。雇止めの言い方が気に食わないということで長期の裁判になったところもあります。このような職員の中には自分は信頼され重要な役割を果たしていると思っている人もいます。ある事業所ではみんなから嫌われているということを伝えトラブルなく退職していただいたところもあります。期間雇用の職員は他にもいますか。


 はい3人ほどおります。


 労働契約法が改正され2013(平成25)年4月1日以降に開始された有期労働契約については5年を超える労働者が期間の定めのない労働契約の申し込みをしたときは、使用者は期間の定めのない契約を承諾したものとみなされるようになりましたこれを「無期転換」と言います。今年の4月以降は無期転換労働者が発生する可能性があります。


 正社員にするということですか。


 いいえ、労働条件は同じでも構いません。ただ期間の定めが無くなるということです。労働条件が同じでいいと言っても何も手を打たなくていいと言うことにはなりません。期間雇用の職員に関してはこれまで当然定年などありませんから定年などを定める必要があります。厚生労働省からもモデル就業規則が示され厚生労働省のウェブサイト(http://www.mhlw.go.jp/)からダウンロードできます。


 私のところは60歳定年でそれ以降は1年契約で更新しています。この場合5年たつと無期転換となってしまうのでしょうか。


 定年後引き続き雇用される有期雇用労働者には労働契約法の特例があります。雇用管理に関する計画を作成し都道府県労働局長の認定を受ければ無期転換権は発生しません。この計画書(第二種計画認定・変更申請書)も、厚労省のホームページからダウンロードできます。

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