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職場でのいじめ・パワハラ問題

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

職場でのいじめ・パワハラ問題
【2012年9月】


 私の医院の職員が「いじめ・嫌がらせ」「パワハラ」されていると労働局へ訴えたようです。

A
  どうしてわかったのですか。


 雇用均等室の職員が調査に来たのです。

A
  心当たりはあるのですか。


 それか全く思い当たることがないのです。ウチに限ってそんなことあるわけないと思っていましたから。

A
  実は先生のような反応が多いそうです。精神科医の香山リカさんも「うちの職場はパワハラに関係ない、そう思っている人が、パワハラの加害者や被害者かもしれないということを忘れないでください」と指摘しています。


 そうですか。誰が訴えたのかな。

A
  先生、犯人捜しなどするとかえってこじれることがあります。それよりも先生のところでもパワハラが起こりうると思って対策を立てた方がいいです。厚生労働省の発表でも「いじめ・嫌がらせ」に関する質問は急増し個別労働紛争相談件数のうち解雇・退職をめぐるトラブルに次いでとうとう第2位になりました。


 そもそもパワハラとはどのようなことを言うのですか。

A
  厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」では「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為をいう」としています。


 抽象的ですね。どのような行為をいうのですか。

A
  行為類型としては①暴行・傷害(身体的な攻撃)②脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと (過小な要求)⑥私的なことに過度に立ち寄ること(個の侵害)―としています。


 これでは仕事上の注意をしてもパワハラと言われかねませんね。

A
  どこまでが「業務の適正な範囲」なのか区分が難しい場合もあります。しかし、根底には働く仲間をどう見るかということがあります。心の底でバカにしているとついつい心無い言葉が出てしまいます。特にトップの心無いひと言が激しく心を傷つけることがあります。職員が診療所の車を洗車していたところ院長に「おっ、君が洗車するなんて明日雨だな」と言われ大変心が傷ついた、という職員がいました。院長は冗談のつもりでしょうが人によりさまざまな受け取り方があります。


 さしあたりどのようなことをすべきでしょうか。

A
  やはりトップのメッセージが大切です。組織のトップが、職場のパワーハラスメントをなくすべきであることを明確に示すことが大切です。次に就業規則にパワハラ防止の規定を設けることです。そのほか厚生労働省はアンケートをする、研修をするなど上げていますがとりあえずメッセージと就業規則の改定でしょう。パワハラで職員がやる気をなくしていたら経営にとって大変な損害です。

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