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正社員として新卒者を雇用すると1OO万円の助成金

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

正社員として新卒者を雇用すると1OO万円の助成金
【2010年12月】


 事務職が退職したので新たに採用しようと思っています。いい人に来てもらいたいと思いますが何かいい方法はありませんか。

A
 採用で一番大切なのは面接ですが、面接だけで見た目で判断して失敗した例があります。ある診療所では事務職1人に対して50人の応募があり、資格を持つ20代前半の女性職員を雇用しました。ところがミスばかりで、ろくに字も書けない、言ったことが理解できない、おかげで同僚看護師がノイローゼ状態になってしまいました。やはり、小学校6年生程度の国語や簡単な計算などの試験は行うべきです。それと私の体験ではトラブルになる人には共通点がありました。


 何ですかそれは?

A
 全員、履歴書が直筆でなくパソコン・ワープロでした。これは一度作れば後は日付などの簡単な差し替えでよく、採用されたいために履歴書を作るという意気込みが伝わってきません。それに「字は人なり」で直筆の字にはその方の性格が現れます。また、短期の転職を繰り返している傾向がありますね。


 転職を繰り返す人はだめですか。

A
 必ずしもそうとはいえません。今日の日本のように中小企業の倒産が多発し、企業も正規社員の採用を控えている中でやむを得ない面もあります。しかし事業主が退職理由を聞いていないことが多いのです。履歴書に書いてある以外に職歴はないことを確認し退職理由を徹底的に聞くべきでした。


 採用は難しいですね。

A
 人事の8割は採用です。それに定着していただくことが大切です。新卒は比較的定着が良いといわれています。また、新卒採用には各種の助成金制度も設置されました。


 どんな助成金がありますか。

A
 「3年以内既卒者(新卒扱い)拡大奨励金」と「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」です。このうち「3年以内既卒者(新卒扱い)拡大奨励金」は卒業後3年以内の大学などの既卒者で1年以上継続して同一の事業主に正規採用された経験がない人(2008年3月以降に大学などを卒業した人)をハローワークの紹介で正規採用すると、正規採用での雇い入れから6カ月経過後に100万円支給するというものです。


 2人雇うと200万円ですか。

A
 いいえ、何人雇用しても同一事業所に1回(100万円)限りです。


 いきなり正規社員として雇用するのはためらわれますね。

A
 それでは、「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」はいかがでしょうか。対象者は先ほどと同じですが、正規雇用へ向けて育成するために、まずは有期雇用(原則3カ月)で雇用し、その後、正規雇用に移行させた事業主に支給されるというものです。有期雇用の3カ月は対象者1人につき月額10万円、有期雇用終了後正規での雇い入れの場合1人につき50万円支給されます。いずれにしろハローワークの紹介で雇用しなければなりませんから雇用する前にハローワークとよく相談することが大切です。

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