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非正規職員の健診や正社員化に活用できる助成制度はあるか

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

非正規職員の健診や正社員化に活用できる助成制度はあるか
【2017年11月】


 半年契約をして通算2年以上になるパート職員から定期健康診断の要望がありました。パートにも健康診断を受けさせる義務があるのでしょうか。


 労働時間にして正規社員の4分の3未満であれば健康診断を受けさせる義務はありません。しかし、パートの職員の方に気持ち良く働いていただくためにも、また健康管理のためにも健康診断は実施した方がいいと思います。
 もしも先生が健康診断をされるということであれは「キャリアアップ助成金」を活用されたらどうでしょうか。


 どんな制度ですか。


 有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規労働者のキャリアアップを促進するための取り組みを実施した事業主に対し支給する助成金制度です。
 このうち健康診断制度コースでは有期契約労働者に対し本来法律では義務付けられていない「健康診断制度」を就業規則などに新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に支給されます。


 私は内科医ですが、私のところで健康診断を実施してもいいのですか。


 それは構いません。私の顧問先の診療所でも自分のところに勤務している職員に健診を実施し、助成金を受けています。


 どのくらいの額が支給されるのですか。


 1事業所あたり1回だけですが、38万円支給されます。もしも手続されるのであれば所定の計画書の作成・労働局への提出あるいは就業規則の変更などの手続きが必要ですからハローワークか労働局と相談することをお勧めします。あるいは助成金に詳しい社会保険労務士に手続きを依頼することもできます。


 また、パート職員で仕事に慣れてきた人を正社員にしようと思っていますが、この場合そういった助成金はありますか。


 キャリアアップ助成金の「正社員化コース」と言って有期契約労働者等を正規社員に転換した場合に支給される助成金があります。


 それはどのくらい支給されるのですか。


  1人当たり57万円です。自治体によっては東京都などのように国とほぼ同額の上乗せをするところもあります。加えて、有期契約労働を無期転換する、または無期雇用の非正規労働者を正規労働者にしても助成金が支給されます。


 それはどのくらい支給されますか。


 1人当たり28万5千円です。ただ注意が必要なのは、一部では社会保険労務士が正社員予定者を当初6ヵ月契約で雇用し正社員に転換して助成金を受けることを助言していますが、これは禁止されています。また正社員化の前後6ヵ月間に事業主都合で退職していた場合も支給されません。

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