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医療事務職員の募集に若い人から応募が来ない

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

医療事務職員の募集に若い人から応募が来ない
【2017年5月】


 整形外科の診療所です。スタッフは15人ほどになりました。このたび事務職員をハローワークを通じて募集しました。2年前にはかなりの応募者があったのですが今回は若い人の反応がありません。若い人の採用を考えているのですが、いい方法はありませんか。


一般的には年齢制限は認められません。年齢よりも能力で選ぶことが求められています。実際に求職に来られた方を個別に判断して採用を決めることが求められています。ただ例外的に認められる場合もあります。長期勤続によるキャリア形成を図る観点から期間の定めのない雇用などが認められます。詳細はハローワークで個別に相談してください。先生のところはなぜ若い人が必要なのですか。


 職員がすっかり高齢化してしまい若い人が全くいなくなってしまったのです。将来、幹部になる人材の確保が心配なのです。


 ところで求人票を提出された際、「仕事の内容等」という欄があったと思いますが、どのように書かれましたか。


 職種欄は「事務職」、仕事の内容欄は「医療事務」と書きました。


 それでは反応がないのも当然です。この欄は求職者が最も見る欄です。できるだけ仕事の内容を詳細に具体的に書くことが必要です。診療所のビジョンや方針、教育制度なども入れたいところです。求職者にとっては人生がかかっているわけですから。先生のところはホームページはありますか。


 まだありません。


 ホームページがない事業所は「ホームレス」と言われています。現在の若者が関心を持った場合まず見るのはその事業所のホームページです。人材情報誌の調査では求職活動する人がホームページを訪問する理由は80%以上が企業の詳細な情報を収集するためです。しかもホームページは「スマホ」対応のものが求められます。ホームページを訪問した人の約60%が実際の職場環境がイメージできなかったと不満を抱いています。最近の若者は電話が苦手になっています。求人用のホームページも大切です。


 ホームページなどで採用がうまくいきますか。


 職場内の様子が分かる写真や動画を充実させ経営トップの顔や考え方を紹介するなどして、効果を上げているところもあります。それと私は「若者応援宣言企業」になることをお勧めします。


 「若者応援宣言企業」ですか。初めて聞きました。


 若者の採用・育成に積極的であり、通常の求人情報よりも詳細な企業情報・採用情報を積極的に公表する中小企業を「若者応援宣言企業」として、都道府県労働局・ハローワークが積極的にPR等を行う事業です。


 費用は掛かるのですか。


 無料です。「若者応援宣言企業」になると労働局のホームページに掲載され、適した人材の応募が見込まれます。


 手続きは面倒ですか。


 条件さえ満たせば簡単です。ハローワークに担当者がいますから気楽に相談してください。なお、各労働局のホームページには「若者応援宣言企業」の一覧表が掲載されていますので参考にしてください。

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