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マイナンバーの通知力ード(経営者の対応)

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

マイナンバーの通知力ード(経営者の対応)
【2015年11月】


 マイナンバー(個人番号)の「通知力ード」が届き始めました。社会保険関係手続への利用はどうなりますか。


 健康保険、厚生年金での利用はもともと1年遅れの2017年からとなっていました年金情報漏えい事件により一部遅れはありますが、実質的な遅れはないとおもいます。雇用保険に関しては2016年1月以降の取得、喪失手続きから利用が始まります。したがって来年採用する職員からはマイナンバーを取得しなけれぱなりません。


 マイナンバーを職員から集めるときはどのような注意が必要ですか。


 利用目的を通知しなけれぱなりません。その目的以外に利用することはできません。


 いろいろなことにマイナンバーは使うのでしょう。利用のたびに利用目的を通知しなければならないのですか。


 原則はそうですが、あらかじめ包括的に使用目的を通知しておけぱいいことになっています。職員と扶養家族のマイナンバーが必要になってきます。そのための私の事務所では「個人番号通知書兼提出先のお知らせ」という書類を作成し「本人・扶養家族個人番号一覧表」を提出していただくようにしました。マイナンバーが含まれている情報を特定個人情報と言います。マイナンバーを扱う実務をするうえで「特定個人情報の適正な取り扱いに関する基本方針」「特定個人情報取り扱い規程」の作成が従業員100人以上の事業所には義務付けられています。それ以下の事業所でも作成した方がいいとされています。無責任なことに政府はこれらの規程のモデルは示していません。


 マイナンバー提供に不安を持っているスタッフもいます。スポットで頼む医師などでマイナンバーの提供を拒否する方もいると思います。この場合どうしたらいいのですか。


 内閣官房のマイナンバーに関する「よくある質問」には「社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは書類の提出先の機関の指示に従ってください。」とされています。雇用保険に関してもマイナンバーが記載されていないからと言って手続きができないということはありません。提出を拒否したからと言って罰則もありません。これは私も「マイナンバーコールセンター」で確認しました。ただ官庁から詳しい経過を聞かれることがあります。そのようなときのため拒否する職員等からは「マイナンバー提供拒否についての確認書」を取っておくといいでしょう。


 マイナンバーの漏えいには重い罰則があるのに提出拒否には罰則がないのですか。


 そうです。そもそも、マイナンバー法6条ではマイナンバー利用に関し事業者は「実施する施策に協力するよう努めるものとする」とあるだけで、法的には事業主にマイナンバーについて努力義務があるだけです。なおここに紹介した書類の見本は曽我社会保険労務士事務所のホームページからダウンロードできます。

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