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退職した職員が解雇されたと言って労働局にあっせんの申請をした。応じなければならないか

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

退職した職員が解雇されたと言って労働局にあっせんの申請をした。応じなければならないか
【2013年5月】


 退職した職員が解雇されたと言って労働局へ「あっせん」の申請をしました。労働局から通知が来ました。あっせんに応じなければならないのでしょうか。

A
  「個別労使紛争解決法」に基づいて労働局から通知が来たものです。そこにも書いてあると思いますが「あっせん」に応じるかどうかは全くの自由です。


 この「あっせん」に応じないと不利になることはありますか。

A
  応じない会社も結構あるそうですがそのため労働局から何らかの処分を受けるなど不利になることはありません。ただ、裁判になったとき強硬な態度であったなどと言われることがあるそうです。確認しますが本当に解雇したのですか。


 同僚の職員に対し弁当を買いに行かせるなど使い走り的な雑用をさせるので「そんなことは自分でしなさい」と注意したところ「辞めます」と言ってそれきり来ないので退職扱いにしたのです。

A
  社会保険や雇用保険の手続きはどうしましたか。


 健康保険証は返送するように言っても送ってこないので回収不能ということで手続きをし、雇用保険は「自己都合」で処理しました。

A
  退職届はもらったのですか。


 いえ、本人が辞めると言ったのでもらっていません。

A
  やはり退職届をもらっていないことが今回の問題をこじらせた原因になっています。特にこじれる恐れのある時は「退職合意書」を取っておくべきでした。


 この退職した職員は本人は気づいているかどうか知りませんが、すべての同僚からも嫌われています。それでも「あっせん」に応じた方がいいですかね。「あっせん」ではどのようなことをするのですか。

A
  大学教授、弁護士、社会保険労務士など労働問題に詳しい人が間に立って交互に事情を聴き妥協点を見つけます。


 話し合いがつかなければどうなりますか。

A
  そうした場合は「あっせん」打ち切りになります。次の段階では労働審判、裁判になるか労働者が一人でも加入できる「合同労組」に駆け込みさらに交渉を統けるか、解雇予告手当だけの問題なら労働基準監督署へいくかそのまま労働者があきらめるかさまざまな可能性が考えられます。私としては「あっせん」に応じ妥協点を見つけることをお勧めします。


 あっせん委員はどんなことを聞くのですか。

A
  個別に当事者に実情を聞き妥協点を見つけます。あっせん委員は何が真実かを見つけるよりも双方が満足できる点はどこかを見つけることに重点を置いています。したがってこれまでの経験上双方の満足できる案を提案してくれる可能性があります。


 私だけで行くのですか。

A
  弁護士や特定社会保険労務士に同席してもらうことも可能です。この場合事前に申請しておかないと同席を拒否する労働局もありますから確認してください。


 何か準備しておくことがありますか。

A
  あっせん委員は丁寧に聞いてくれますが、できたら相手方の申請書をよく読み答弁書を用意しておくといいでしょう。多くは金銭解決になりますから許容限度も検討しておくといいと思います。

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