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病気退職を希望する職員の保険と年金

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

病気退職を希望する職員の保険と年金
【2012年3月】


 当院に勤務する40歳代の歯科医が脳疾患で倒れてしまいました。幸い命には別条はないとのことですが、治療にかなりの期間が必要になりそうです。当人は退職したいと言ってきましたが、どう対応したらいいでしょうか。

A
 治療は健康保険でしているのでしょうか。


 私のところは協会けんぽに加入しているので、協会けんぽで治療しています。

A
 傷病手当金は請求しましたか。


 民間の所得補償保険に加入していて、そこから休業給付があるので傷病手当金は請求していません。

A
 民間の保険と傷病手当金の調整はないので、すぐに傷病手当金は請求してください。


 傷病手当金はいくらくらい支給されますか。

A
 1日につき標準報酬日額(給料を基準に計算)の3分の2です。


 退職すると傷病手当金はどうなりますか。

A
 その方が引き続き1年以上健康保険の被保険者で、しかも退職時点で傷病手当金を受けていれば期間満了(受け取り始めてから1年半)まで受けることができます。


 退職後は国民健康保険に加入することになると思いますが、それでも傷病手当金は受け取れますか。

A
 受け取れます。ただ国民健康保険は前年の年収で保険料が計算されます。協会けんぽの場合、給料がどんなに高くても現在は健康保険の28万円の標準報酬に基づく保険料です。年収の高い人は健康保険の任意継続をした方が有利になることがあります。


 失業給付は受けることができますか。

A
 失業給付は「働く意思と能力」があって、かつ就業の機会を捜していて初めて受け取ることができます。したがって傷病手当金と失業給付は同時には受け取れません。失業給付は通常退職後1年以内に受け取らなければなりません。しかし、受給者の申し出により4年間まで延長ができますからこの手続きを忘れないようにしてください。


 仮に後遺症が残り歯科医の仕事ができなくても失業給付は受け取れますか。

A
 歯科医の仕事ができなくても、ほかの仕事ができれば失業給付は受け取れます。それに障害の程度により障害年金を受け取ることもできます。


 障害年金は何歳から受け取ることができるのですか。

A
 障害年金は障害の程度によって受け取るものですから、20歳からでも受け取れます。


 障害年金を受け取れる条件はどうなっていますか。

A
 初診日において厚生年金に加入していて、年金の加入要件を満たしており、障害認定日に一定以上の障害状態であれば障害厚生年金を受け取れます。障害年金はどんな病気でも重ければ対象になります。障害者手帳の交付を受けても障害年金は支給されません。法律が違うからです。障害年金は請求しなければ受け取れません。私も体験しましたが年金事務所によっては申請書関連の書類の交付を渋るところがあります。請求漏れの無いようにしていただきたいと思います。

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