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勤務医は独立開業したら必ず夫婦そろって国民年金加入手続きを

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

勤務医は独立開業したら必ず夫婦そろって国民年金加入手続きを
【2011年5月】


 勤務医が独立して個人開業医になった場合、どうしても国民年金に加入しなければいけないのですか。

A
 勤務医は基本的に厚生年金か共済年金に加入していますが、基礎年金制度となってからはそれらと国民年金の両方に加入していることになっています。


 25年以上自治体病院に勤務していたので共済年金の期間だけで年金は受け取れますが、それでも国民年金に加入しなければいけませんか。

A
 国民年金は強制加入ですから、日本に住所のある人で20歳から60歳までの人は加入が義務付けられています。


 私の妻はどうなるのでしょうか。私の被扶養者ということで国民年金保険料は私が負担していたと思います。

A
 独自には負担していないはずです。国民年金は3種類に分かれます。勤務していない自営業者は「第1号被保険者」といって独自に保険料を負担しています。サラリーマン(会社員、公務員)は「第2号被保険者」、サラリーマンの被扶養配偶者は「第3号被保険者」で、保険料は払っていませんが年金の計算では国民年金保険料を支払った期間として扱われます。


 私の給料から妻の国民年金保険料が天引きされていたのではないですか。

A
 被扶養配偶者がいる人もいない人も給料(標準報酬)が同じなら保険料は同じです。つまり、サラリーマン全体で被扶養配偶者の保険料を負担するという仕組みになっています。


 そうすると独立開業すると私も妻も「第1号被保険者」になるということですね。

A
 そうです。必ず国民年金の切り替え手続きをしてください。


 手続きは誰がするのですか。

A
 市区町村役場に行って自分でします。実はこの手続きを忘れている、あるいはしていない主婦が100万人近くいるということで大きな問題になっています。


 しかし、こんな年金の仕組みは知らない人が多いのではないですか。

A
 そうです。そこではじめは切り替え漏れの人も2年間遡って国民年金の保険料を支払えばその前の期間は3号被保険者として扱うとしました。ところがまじめに支払った人からは不公平だという声が上がり政府は撤回に追い込まれました。


 それにしても国民年金を支払っていて大丈夫でしょうか。年金はつぶれませんか。

A
 マスコミでも不安をあおる発言がありますが私は日本が存在する限り年金は大丈夫だと思います。3000万人以上が受給している年金をつぶせるわけはないと思います。それに国民年金を支払わないということは大変な損をしているということになります。


 国民年金の保険料は15,100円、2人で30,200円とかなりの負担です。

A
 国民年金の半分は税金が投入されています。保険料を滞納する人はこの税金分の恩恵を放棄していることになります。震災などで保険料の支払いが大変な人は保険料免除制度などを活用し滞納を避けていただきたいと思います。

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