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失業給付を受けられる条件が12カ月へ延長

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

失業給付を受けられる条件が12カ月へ延長
【2007年11月】


 10月に退職した人が雇用保険の失業給付を受けられないといってきました。

A
 その方はどのくらい勤めていましたか。


 8カ月です。確か、6カ月あれば失業給付は受けられるのではなかったでしょうか。

A
 2007年9月まではそうでしたが、10月からは基本的に12カ月必要になりました。つまり、これまでは離職日以前1年間に、支払い基礎日数が14日以上ある月が6カ月あれば、失業給付を受けることができました。ところが10月からは、離職日以前2年間に、支払い基礎日数が11日以上ある月が通算して12カ月以上あることが、受給資格要件となります。


 そうするとこれまでの短時間労働被保険者と同じですね。

A
 そうです。これまで労働時間によって区分されていた短時間労働被保険者と一般被保険者の区分がなくなりました。


 なぜ、6カ月が12カ月に伸びたのですか。

A
 半年勤めては失業給付を受け取ることを繰り返す人が10人に1人いるということで、循環的な給付や安易な離職を防ぐためということです。


 そうすると、6カ月働いて解雇されたりすると、これまでは受けることができた失業給付が受けられなくなるということですね。

A
 いえ、倒産や解雇による離職は離職前1年間に6カ月あれば、雇用保険の失業給付の受給資格要件を満たすことになりました。


 これまでは支払い基礎日数が1カ月14日なければ失業給付を受け取れなかったのに、今回からは1カ月に11日でいいということですか。

A
 そういうことになります。


 家族の介護などでやむを得ず退職する人も、12カ月ないと失業給付は受け取れないのですか。

A
 雇用保険の失業給付を受け取るには働く意志、能力がありかつ就業の機会を探している人に支給されます。従って、介護しているときは当然失業給付を受けることができません。しかし、例えば不幸にして介護をされている人が亡くなり介護の必要がなくなった人は、失業給付を受けることができます。このような人は、離職前1年間に支払い基礎日数が11日以上ある月が6カ月あれば失業給付を受けることができます。


 妊娠、出産、育児などの場合はどうなるのでしょうか。

A
 そのような時も支払い基礎日数が11日以上ある月が6カ月あれば受給資格者になれます。ただし、そのような方は1年以内に雇用保険を受け取りきることはできませんので受給期間の延長となります。この場合は6カ月でも受給できます。


 なんですか、その「受給期間の延長」というのは。

A
 雇用保険は通常、離職後1年以内に受け取りきらなければなりません。しかし、育児中の人は働くことができませんので、失業給付を受け取ることができません。そのような時は職安に受給期間の延長を申請すれば最高4年まで延長できます。


 育児休暇をとる人に退職してもらってもいいのですか。

A
 育児休業を申請したことを理由に解雇はできません。むしろ少子高齢化対策として育児休業は積極的にとるようにさせてください。そのために育児休業給付があります。


 育児休業給付はどのくらい支給されますか。

A
 育児休業期間中は、育児休業基本給付金が賃金の約30%、復帰すると育児休業者職場復帰給付金が今まで10%であったのが20%支給され、合計50%支給されます。是非利用するようにしてください。


 引き上げられるのはいつからですか。

A
 2007(平成19)年3月31日以後に復帰された方からです。

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