奈良県保険医協会

メニュー

中小企業子育て支援助成金 育児休業を取らせると助成金100万円

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

中小企業子育て支援助成金
育児休業を取らせると助成金100万円
【2006年7月】


近く出産する職員がいます。本人は育児休業をとって引き続き勤務したいといっています。今までは先のことはわからないので引き続き働くつもりであっても、ともかく一旦は退職してもらったのですが、そのやり方ではまずいのでしょうか。

A
育児休業については、法律的に労働者から申し出があったときは拒否できません。なお、日々雇用される者や期間を定めて雇用した者は与えなくてもいいことになっています。それと、労使協定があれば雇用された期間が1年未満の者や、配偶者で常態として子を養育できる人がいる労働者については除外できます。その方は、雇用保険に加入している人ですか。


はい、3年前より正社員として雇用保険に加入しています。

A
それでは、育児休業を申請した場合事業主は拒否できません。それよりも今年の4月から始まった中小企業子育て支援助成金制度を活用されたらどうでしょうか。


どういう助成金ですか。

A
これまで育児休業を取ったことがない事業所に支給されるもので1人目は100万円、2人目は60万円支給されます。


どんなとき支給されますか。

A
詳しくは各都道府県にある雇用均等室か21世紀職業財団で聞いてください。親切に教えてくれます。簡単に申し上げますと①常時雇用する労働者が100人未満。②都道府県労働局に「行動計画」を届けており就業規則で育児休業の規定がある。③2006(平成18)年4月1日以降育児休業者が出た。④この育児休業を取る労働者が子の出生の日までに1年以上雇用保険の一般被保険者としての期間がある。⑤6カ月以上育児休業を取って、職場に復帰後6カ月を経過している、などです。


そうすると助成金申請までに1年もかかるのですか。

A
そういうことになります。私のところでは1年間育児休業を取らせましたが大変でした。私のところですらできたのですから先生のところでできないことはないと思います。


育児休業期間中は給料はどうなりますか。

A
働いていないのですから無給でかまいません。ただ一定の要件を満たす人は育児休業基本給付金と育児休業者職場復帰給付金が雇用保険から支給されます。


額はどのくらいですか。

A
給料の大体4割程度です。


社会保険料は本人負担分は本人からいただくのでしょうか。

A
健康保険料も、厚生年金保険料も事業主分も含めて免除になります。この期間は保険料を支払ったと同じ扱いになります。


ところで、中小企業子育て支援助成金手続きは大変ですか。

A
そうでもありません。


手続きはどうするのでしょうか。

A
事前に労働局に一般事業主行動計画を提出します。これも所定の用紙がありほとんど書くところはありません。それと育児休業規定を整備します。一般的に助成金の申請は、共通していえますが、申請する窓口の人によく相談することです。窓口の人が味方になってくれるといろいろな知恵を出してくれます。


申請書はいつまでに提出するのですか。

A
要件を満たしてから3カ月以内です。子育て支援助成金申請書に賃金台帳、出勤簿 社会保険・労働保険関係書類を添付し提出します。


育児休業を取らないで就業時間を短くして働きたいといってきた場合は、助成金は出ないのでしょうか。

A
その場合も期間により額が違いますが助成金は支給されます。1年以下ですと、60万円、2年を超えると100万円。2人目からはそれぞれ20万円、60万円です。

雇用問題Q&A

さらに過去の記事を表示